研究課題/領域番号 |
17K15855
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
平田 匠 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (00383795)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 頸動脈プラークスコア / 肥満 / 後期高齢者 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、85-89歳でかつ要介護認定を受けていない(自立または要支援1に該当する)川崎市民を対象としたコホート研究のベースライン調査を実施した。平成29年3月より川崎市立川崎病院にて調査を開始したが、同年5月からは川崎市立井田病院においても調査を実施することができ、平成29年度は計14回の調査を実施した。平成29年度は調査会場の近隣である川崎市川崎区・川崎市幸区・川崎市中原区に在住の3,588名(中原区1,649名、川崎区1,506名、幸区433名)に調査依頼状を送付し、最終的に396名の川崎市民に同意をいただくことができた。調査同意率は11.0%であり、当初設定していた同意率(10%)を若干上回る結果であった。 本研究における対象者は男性195名、女性201名であった。対象者の平均年齢は87.3歳であり、体重は肥満(BMI25以上)が24.2%、標準体重(BMI18.5-24.9)が70.2%、低体重(BMI18.5未満)が5.6%であった。対象者を低体重・標準体重・肥満の3群に分類し、動脈硬化性疾患の危険因子を有する割合を比較した。その結果、肥満者では低体重や標準体重の者と比較し、高血圧・糖尿病・脂質異常症の割合が高かった。また、頸動脈プラークスコア5点以上の割合も肥満者で最も高かった。 それと並行して、東京都都市部在住の85-89歳を対象としたTOOTH研究において、頸動脈プラークスコアと3年後の認知機能の関連について検討した。その結果、頸動脈プラークスコアの高い集団で有意に3年後の認知機能が低下していることが示された。以上より、頸動脈プラークスコアは動脈硬化性疾患である脳梗塞の発症を介して認知機能を低下させている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は当初の計画通り、約400名のベースライン調査実施を達成した。また、平成30年度は新たに約600名のベースライン調査実施を検討しており、その実施に向けた準備も順調に進行している。したがって、現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は約600名のベースライン調査に加え、平成29年度にベースライン調査を実施した対象者に関して追跡調査を実施する予定である。ベースライン調査は、平成30年度から新たな会場(川崎市立多摩病院)を加えて、合計3会場で実施し、平成29年度とあわせて計1,000名のベースライン調査を達成する予定である。追跡調査に関しては、川崎市より介護保険情報、神奈川県後期高齢者広域連合より医療情報を入手し、要介護認定ならびに入院の有無についての情報を得る方針としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初平成29年度に実施を予定していた動脈硬化に関連する各種指標の測定を平成30年度以降に行うことになったため、平成29年度の使用額が当初の予定より大幅に下回ったと考えられる。次年度に平成29年度と平成30年度に実施した調査分の保存血清を用いて動脈硬化関連指標の測定を実施する計画としている。また、国内・国際学会に参加し、本研究に関する情報収集を行うとともに、本研究の成果に関して、国内学会を中心に報告することを検討している。
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