研究課題/領域番号 |
17K15857
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大庭 真梨 東邦大学, 医学部, 助教 (10574361)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 母子保健 / 妊娠中体重増加 / 因果モデル / 出生児体重 / causal inference |
研究実績の概要 |
2018年1月5日から8月31日まで産前産後の休暇又は育児休業を取得し、9月1日より研究を再開した。 本年度は妊娠中体重増加量と出生児体重の因果的関連を検討するためのdirected acyclic graphを作成し、データに適用した。 具体的には以下のとおりである。まず前年度の検討に基づき、体重の指標には妊娠前体重からの増加量を用いた。また、妊娠中体重増加量の時期別の情報を得るため、妊娠前期・中期・後期の3時点の体重増加量を算出して同時に解析に用いた。交絡因子やリスク因子として母の妊娠前情報(体格、生活習慣、血圧等の検査値)、その他父児の因子に着目した。これらの因子同士の関連を先行研究に基づいてdirected acyclic graphに整理した。graphを反映した重み付き周辺構造モデルをあてはめ、時期別妊娠中体重増加量の出生児体重への直接効果(trimester specific controlled direct effect)を推定するために、プログラム開発を解析ソフトSASを用いて行い、BOSHI studyのデータを解析した。 疫学統計専門家との議論を通じて、モデルの妥当性を評価する必要性が示されたため、因果モデルの感度解析手法について情報収集した。そのうちの一つであるE-value analysisの手法をBOSHI studyのデータに適用し、結果の頑健性を評価した。また周産期・母子保健分野の専門家との議論を通じて、血圧や生理学的検査値を用いた時間依存性交絡を調製する必要性が示唆されたため、その方法を検討中である。以上の結果を論文化に向けてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
因果モデルの作成、BOSHI studyの解析に着手し、論文化の準備を進めている。解析結果を踏まえて、周産期疫学の専門家、疫学統計の専門家、国内外の研究者との議論ができており、より充実した成果につながっている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、BOSHI studyにおいて、早産に着目した解析を試みる。出生週数は時間変数のため、変数変換を行うか、生存時間に準じた解析を検討する。また、早産による体重増加量の過小評価の影響を補正する統計学的手法についても情報収集し、適用可能なものがないか検討する。利用できる既存のパッケージがなければプログラム開発、シミュレーション実験なども必要となる。モデルの妥当性については公衆衛生学・疫学専門家の、統計学的手法の妥当性については疫学統計の専門家の意見もうかがい、十分な議論を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は産前産後休暇を取得したためである。この使用計画は研究再開後、文献書籍の購入、解析手法の実験用PCの購入、学会参加や情報収集のための旅費にあてる予定である。
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