近年、海藻類や魚介類に含有する有機ヒ素化合物の生体影響が懸念され、また食事の仕方を加味した生体影響の解明は不十分である。本研究では、国内産の昆布や海苔を研究対象として、ヒ素の化学形態や毒性を解明し、さらに調理や胃腸での消化など物理・化学的作用も検討した。昆布や海苔のアルセノシュガーは、調理温度及び胃内消化酵素などからの影響は認められず、どの実験条件でも無機ヒ素への変換がなく、毒性の増加は確認されなかった。国際社会にて問題となっている、妊婦(胎児)や乳幼児において食事からのヒ素摂取と脳機能障害に関する懸念に対して、本研究の成果は当該問題に対して社会的意義を持つと考える。
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