研究実績の概要 |
1,2-ジクロロプロパンの代謝物を検出するため、雄マウス(129sv)と雄CYP2E1ノックアウトマウスの肝臓を摘出し、肝臓ホモジネートと1,2-ジクロロプロパンを反応させどのような代謝物が生成されるかについて検討を行った。その結果、1-クロロ-2-プロパノールとメチルグリオキサールの濃度が経時的に増加し、1,2-ジクロロプロパンの中間代謝として生成される可能性が示唆された。また、ヒト肝細胞および胆管細胞を用いてそれらの代謝物のDNA損傷性を確認した。その結果、メチルグリオキサールにはDNA損傷性が濃度依存的に観察され、1,2-ジクロロプロパンの発がん性に関与する代謝物の一つである可能性が示唆された。また、今回同定した代謝物1-クロロ-2-プロパノールをマウスへ投与すると、代謝物としてメチルグリオキサールが生成されることを確認した。また、投与後肝臓毒性の違いについて検討を行っている。 経皮吸収性が高いと考えられているジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドは経皮吸収後肝臓でCYP2E1による代謝を受け、肝障害を誘発する可能性が示唆されている。そこで、野生型、CYP2E1ノックアウトマウスを用い、新たに確立した経皮投与方法を用いた経皮投与実験を行い、経皮吸収速度および代謝物の検出について検討を行っている。
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