本研究は、スリランカ小学生を対象に、栄養不良の二重負荷に関連する要因の検討および栄養不良対策として学校食育プログラムの効果検証を行うことを目的とした。 昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、当初予定していた介入研究の実施が困難となり、また長期化したコロナ禍および度重なる学校閉鎖により子どもたちを取り巻く生活環境が大きく変化した。そのため2021年度は、共同研究先のケラニア大学医学部の研究者らと協議を行い、オンライン調査により、コロナ禍における子どもの栄養状態に関する実態把握をすることとし、調査実施のため英語および現地語(シンハラ語・タミル語)の調査書類一式を作成した。 既存データを用いた解析では、子どもの行動特性(Strengths and Difficulties Questionnaire: SDQ)と生活習慣(朝食欠食、身体活動、起床時間、就寝時間)と体格との関連を検討した。解析対象者のうち、「総合的な困難さ」の得点が高く支援が必要な割合は11.2%、朝食欠食の割合は10.8%、中強度の身体活動が1日60分未満の割合は58.7%、就寝時間が10時以降の割合は11.4%、また約三人に一人が栄養不良(やせや過体重・肥満)であった。朝食欠食は行為の問題行動の高得点と関連し、遅い就寝時間は向社会的行動の低得点と関連がみられた。横断研究のため解釈に注意を要するが、規則正しい生活習慣は小学生の問題行動を軽減する可能性が示唆された。
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