研究課題/領域番号 |
17K15869
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研究機関 | つくば国際大学 |
研究代表者 |
中谷 直史 つくば国際大学, 医療保健学部, 助教 (70784049)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 抜針検知回路 / 抜針検知WEBシステム / IoT |
研究実績の概要 |
本研究は血液浄化療法中の患者からの留置針の脱落を非観血的に検知し,血液循環ポンプの停止,音響的・視覚的警報によって医療スタッフに異常を通知するシステムを開発することを目的としている. 本年度においては,「抜針検知回路の開発および特性測定」を目的として,抜針検知回路の試作機について,模擬人体回路による抜針検知回路の特性および検知確度の測定を実施した. 本回路は,血液回路のチューブにクリップ式の電極を2点装着し,その電極に対し交流信号を印加することで,患者-抜針検知回路間の静電容量結合を実現している.その際に直列に接続された負荷抵抗の電圧降下を利用し,検知電圧を得ている.本回路により抜針検知が可能であるかを検討するため,次のような実験を行った. 模擬人体回路に正常に接続した状態における検知電圧を基準値とし,正常時および抜針時でその比をとった結果,正常時(0.982±0.011),抜針時(0.895±0.016)であった.また,t検定により統計的有意差を求めたところ,p<0.01であった.これらの結果から,抜針検知回路により留置針の脱落を非観血的に検知することが示唆された. また,本研究で対象としている血液浄化療法中の意図しない留置針の抜針事故は,本邦のみならず,米国においても発生しているとの報告があることから,抜針検知WEBシステムの監視画面を英文表示にする改良を加え,本邦以外の英語圏においても本システムを利用可能とした. 以上の成果により,我々が開発した抜針検知回路および抜針検知WEBシステムが,意図しない留置針の抜針を非観血的に監視可能であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「抜針検知回路の開発および特性測定」,「抜針検知監視WEBシステム」について,国際会議で発表し,国際誌における査読付原著論文として投稿を予定している. さらに,1件の学会口頭発表および,2件の招待講演を行ってきている. 一方,所属する研究機関の学科が学年進行中であるため,当初予期していなかった業務が発生しており,「非観血的抜針検知電極の開発」の進行に若干の遅れを生じている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の知見を応用し,試作した抜針検知回路の電気的特性および,その安全性について十分に検討を行い,回路の完成を目指していく.遅れの生じている「非観血的抜針検知電極の開発」については,研究協力者への技術的支援を求め,研究の進展を図っていく. 一方,「抜針検知WEBシステムの開発」については,実際に利用が想定される臨床工学技士への意見聴取を進め,設置する病院の状況に合わせて使用できるよう改善を図っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研究が遅延している状況から,必要となる機材の購入および開発に係る経費を次年度に繰り越している.また,研究協力者に一時的に測定機材を借用して実験を実施したことによる.
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