研究課題/領域番号 |
17K15875
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪狩 由 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90788366)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高分解能温度データロガー / データ収集 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、死後経過時間推定法の向上と、先行研究における乳幼児例に対する新法の検討および適応の拡大である。今年度の主な予定は、従来の分解能0.5℃の温度データロガーから、より精度の高い分解能0.1℃の温度データロガーの導入と、実務例からのデータ収集である。 年度当初、死後経過時間推定プログラムの実行に使用していたパソコンのOSアップデートにより、それまで使用していたプログラムが一切使用不能となった。プログラム作成協力者が他機関に移動しており、頻繁に相談することは困難であったが、何度か調整を重ねた結果、なんとかプログラムの使用が可能となった。本研究課題の実行にはプログラムの使用が必要不可欠であるため、プログラムが使用可能となるのを待っての温度データロガーの購入となり、結果として研究に遅延を生じた。しかし、本年度中も従来の分解能0.5℃のデータロガーを用いてのデータ収集は行なっており、今後使用予定の分解能0.1℃のものとの比較対象のためのデータとして有用である。また、乳幼児例のデータも少数ながら収集できたため、先行研究での新法の検討のためのデータに加えることができた。 データロガーは、従来使用していたメーカーで生産停止となったため、解析ソフトを含めて総入れ替えとなった。まず、デモとして2つ購入し、実務での使用に概ね問題がないことを確認したのち、県下の全警察署への配布を開始した。 また、先行研究では、小児例では直腸温測定中の死体の保管状況を統一しての再検討が必要と考えられたが、実務上はそれぞれの警察署での死体の保管状況を統一することは困難であり、よって新たに調査表を作成して、直腸温測定中の死体の保管状況について個別に報告してもらうこととした。これにより、乳幼児用の新法について再検討できるとともに、これまで用いられていた「補正因子」について新たな知見が得られるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、パソコンのOSアップデートに伴うトラブルにより、研究がやや遅れる結果となったが、現時点では何とかプログラムが修正でき、使用可能となった。 今年度も、従来の分解能0.5℃のデータロガーを使用してのものではあるが、実務例から温度データを採取しており、分解能0.1℃のデータロガーを使用した場合との比較対象として有用なデータが蓄積できた。また、少数ではあるものの、乳幼児例からの死後経過時間推定のデータも採取でき、先行研究で作成した乳幼児例のための新法の検証に役立つものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新規導入した分解能0.1℃のデータロガーを使用して実務例からデータを集めつつ、死後経過時間プログラムを使用して随時死亡時刻を推定していく。成人例でも分解能0.1℃のデータロガーを使用しての死亡時刻推定は初めてであるため、死後経過時間推定の精度の改善が見られるか、これまでのデータと比較検討していく。 乳幼児例でも、成人例同様に随時死後経過時間を推定していくとともに、直腸温測定中の死体の保管状況を個別に調査し、先行研究で作成した乳幼児用の新法を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
都合により一部学術集会に参加せず、旅費分が次年度使用額となった。次年度は発表に足りる量のデータ収集が期待されるため、積極的に学会発表を行う予定である。
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