研究課題
アルツハイマー病は認知症をきたす最大の原因疾患であり,罹患 者は年々増加している.申請者の研究グループでは AD の病因関連分子アミロイドβ蛋白(amyloid β protein; Aβ)や遺伝的危険因子アポリポ蛋白 E4(apolipoprotein E4: APOE4)が酸化ストレス に関与することを解明した.これら分子はミトコンドリア機能を障害することも報告されている. 一方,最近 Growth differention factor(GDF15)がミトコンドリア病で増加する蛋白質と同定し, ミトコンドリア障害を反映すると考えた.本研究では GDF15 に着目し,アルツハイマー病を初めとする神経変性疾患や他の神経疾患におけるミトコンドリア機能障害を解明する.具体的には,① 神経疾患の髄液中のGDF15を測定し,各疾患との関係,重症度の相関関係を調べる.② アルツハイマー病の神経細胞で認められる病理構造を再現する培養モデルを用いて,その培養上清中のGDF15を測定する.今年度は,GDF15の測定法が改良されたため,アルツハイマー病以外にも多数神経疾患の髄液や血清中のGDF15を測定した.特に代表的な変性疾患であるパーキンソン病についてもミトコンドリア障害が示唆する報告がされているため,研究対象として解析した.今後は,これらの測定結果と疾患との関係,重症度の相関などについて解析していく.またパーキンソン病の病因関連分子であるレビー小体を再現する細胞培養モデルが使用できるようになったため,今後はパーキンソン病とGDF15との関係についても解明していく.
2: おおむね順調に進展している
GDF15の測定方法が改良され,まずは臨床サンプルを用いた検討が可能となった.
引き続き臨床検体からGDF15の測定を行う.またアルツハイマー病の細胞培養モデルを構築し,培養細胞下でのGDF15の変動を調べていく.
本年度では,他の外部資金の提供もあり,予定していたよりも低予算で研究が遂行できたため.
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Int J Rheum Dis.
巻: 20 ページ: 1808-1811
10.1111/1756-185X.12610