診療録テキストから抽出した病歴情報(抽出データ)と網羅的問診票によって得られた病歴情報(問診票データ)とを比較したところ,診療録テキストだけでは病歴情報に基づく推論エンジン開発のための有効なデータを供給できなかった。一方,患者自身による網羅的問診票への回答情報は,病歴情報に基づく診断推論エンジン開発の目的に適うデータを供給できる可能性があった。抽出データならびに問診票データのそれぞれを用いてベイジアンネットワークの構築を行ったところ,前者では欠損値が多く,有用なネットワークを構築することができなかったが,後者では先行研究と同様の予測因子のほか,異なる確率的因果関係を抽出できる可能性が示された。
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