超高齢で入院歴があり要介護状態を多く含むような患者を対象とし、老年病科医による抗凝固療法の選択が適正であったかを検討した。東大病院の入院データベースを用いて入院歴のある75 歳以上の心房細動を抽出し、カルテを後ろ向きに調査した。高齢者、痩せ、脳梗塞の既往が抗凝固療法の決定に有意な因子であった。抗凝固療法の有無と出血には有意な相関はなく、抗凝固療法群に脳梗塞が有意に多かった。全死亡については、抗凝固療法群に生存率が高かった。これらの結果から、従来老年病科で行われていた、出血の高リスクを避けて処方を行うという選択は、出血合併症を増やさず、梗塞イベントも増やさないため、適正な判断であると考えられた。
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