研究課題/領域番号 |
17K15891
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
条 美智子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (80432110)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / ラット腸間膜リンパ管 / 漢方方剤 |
研究実績の概要 |
本研究ではラット腸間膜およびそのリンパ管を用いることにより、それらの形態学的検討や分子生物学的解析を行い、五苓散の新たなリンパ浮腫治療方法の構築およびその作用機序の解明を目的に、本研究を進めてきた。 漢方方剤である五苓散とその構成生薬である沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、桂皮を各20gに水道水500mLを加え、煎じ器ニューマイコン漢方煎器文火爛々(EK-SA10型)にて火力中で50分間煎じた。得られた煎液は二重に重ねたガーゼにて濾過し、その後凍結乾燥法により凍結乾燥エキスを得た。200gのSDラットを麻酔下で開腹、盲腸近傍から結腸近傍を切離し、顕微鏡下で腸間膜リンパ管を単離した。単離した腸管膜リンパ管をvessel chamberに付属したガラスピペットに挿入し、作製した五苓散とその構成生薬の各凍結乾燥エキスを1~30ug/mlの濃度の範囲でchamber 内に投与し、CCDカメラから得られた画像を解析ソフトにより腸管膜リンパ管の収縮期および拡張期の直径、収縮速度および頻度を測定・解析をした。五苓散にはラット腸間膜リンパ管の収縮に対する効果は認められなかったが、五苓散の構成生薬である沢瀉には30mg/mlの濃度でラット腸間膜リンパ管収縮速度を有意に低下させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
五苓散とその構成生薬である沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、桂皮の凍結乾燥エキスを作製し、ラット腸間膜リンパ管を用いてリンパ管の収縮速度、直径を解析しデータを得ている。現在は腸間膜リンパ管に五苓散とその構成生薬を投与し、リンパ管のAQP1抗体、CD31 抗体、podoplanin抗体、VEGFR-3 、VEGFR-C 抗体のタンパク質発現量を定量するための試料を作製中である。
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今後の研究の推進方策 |
腸間膜リンパ管に五苓散とその構成生薬を投与し、リンパ管新生に関するタンパク質発現量およびタンパク質局在性を解明する。また、腸間膜を用いてCompound48/80によりマスト細胞を刺激した後、五苓散および生薬エキスを投与し、ルテニウムレッド染色およびトルイジンブルー染色を行い、マスト細胞の活性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) 29年度にラット腸間膜リンパ管の機能解析を行い、ウエスタンブロットや免疫染色に用いる各種抗体や試薬を購入しなかったため未使用額が生じた。 (次年度における未使用額の使用計画) 未使用額は次年度に用いる各種抗体や試薬の経費に充てることとしたい。
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