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2018 年度 実施状況報告書

家族性地中海熱における発作機序解明と新規治療法の開発~月経との関連を通して~

研究課題

研究課題/領域番号 17K15892
研究機関信州大学

研究代表者

岸田 大  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (50467180)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード家族性地中海熱 / 月経 / 女性患者 / コルヒチン / MEFV遺伝子
研究実績の概要

家族性地中海熱(FMF)は反復する発熱・漿膜炎を特徴とする常染色体劣性遺伝病で、原因遺伝子としてMEFV遺伝子が同定されている。全国の医療機関から依頼された、臨床的にFMFが疑われる症例に対しMEFV遺伝子検査を行った。平成30年度は全国から119例の検査依頼があり、多くの不明熱患者の診断、治療に貢献した。
対象患者の男女比は53:66で、女性が55.5%とやや多かった。そのうち22例(33.3%)では、発作と月経の間に何らかの関連が認められ、多くの女性患者で月経が病態と関連していることが示唆された。具体的には月経がトリガーとなり発作が誘発される例、妊娠によって月経が停止したことによって発作が起こらなくなった例、などが認められた。そこで、当科でこれまでMEFV遺伝子検査を行い、臨床的にFMFの国際診断基準を満たした426症例で同様に発作と月経の関連を検討したところ、106例(24.9%)で関連が認められた。月経を契機に発作が起こりやすい、症状が増悪する、といった症例が多かったが、中には毎回月経○日目で発熱する、など定型的な症状を呈する症例も少なくなかった。106例中17例(16.0%)では月経困難症の併存があり、中には月経困難症の治療によって発作が出にくくなるといった症例も見られた。また、9例(8.5%)では妊娠によって発作の軽減が得られていた。MEFV遺伝子検査では、28例(26.4%)にexon10のp.M694Iを認めた。当初の予測通り月経は女性FMF患者において重要な位置づけと考えられ、月経以外の発作誘発因子との関連についても検討したいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発熱発作と月経の間に関連性を認めるFMF症例が一定数存在することが、多数例の解析でも明らかになった。産婦人科医の中でもそのような認識が広がりつつあり、本症を取り上げた学会報告なども増加していることから、疾患や病態の認知度が上昇していることが予想される。

今後の研究の推進方策

最終的には月経に関連して発作を起こしやすい患者に特徴的な遺伝型、変異パターンを解析したい。また、月経以外の発作誘発因子(ストレス、過労など)と比較し、治療反応性との関連も評価を行いたい。成果をまとめ、学会発表から論文作成につなげていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

計画通りに研究を進めた結果、わずかに次年度使用額が生じた。次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて、遺伝学的検査における試薬代、シーケンス費用、通信費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Atypical familial Mediterranean fever developed in a long-term hemodialysis patient.2018

    • 著者名/発表者名
      Makino T, Ohara Y, Kobayashi N, Kono Y, Nomizu A, Ichijo M, Mori Y, Matsui N, Kishida D, Toda T.
    • 雑誌名

      Hemodial Int.

      巻: 22 ページ: E19-E22

    • DOI

      10.1111/hdi.12628.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Atypical type of familial Mediterranean fever: An underdiagnosed cause of chronic aseptic meningitis.2018

    • 著者名/発表者名
      Sugie M, Ouchi T, Kishida D, Yasaki S.
    • 雑誌名

      Neurol Clin Neurosci.

      巻: 6 ページ: 191-193

    • DOI

      10.1111/ncn3.12232.

    • 査読あり
  • [学会発表] 本邦における家族性地中海熱患者の遺伝子変異2018

    • 著者名/発表者名
      岸田大、中村昭則、矢崎正英、鈴木彩子、下島恭弘、関島良樹
    • 学会等名
      第1回 日本免疫不全・自己炎症学会総会
  • [学会発表] 家族性地中海熱類似の症状で発症し、後に他疾患の診断に至った 症例の臨床的・遺伝学的検討2018

    • 著者名/発表者名
      岸田大、中村昭則、矢崎正英、鈴木彩子、上野賢一、下島恭弘、関島良樹
    • 学会等名
      第62回 日本リウマチ学会総会
  • [学会発表] Clinical and genetic analysis of patients with symptoms mimicking familial Mediterranean fever2018

    • 著者名/発表者名
      Dai Kishida, Akinori Nakamura, Masahide Yazaki, Ayako Tsuchiya-Suzuki, Yasuhiro Shimojima, Yoshiki Sekijima
    • 学会等名
      ACR/ARHP Annual Meeting 2018
    • 国際学会
  • [備考] 信州大学第三内科

    • URL

      http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-3nai/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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