愛媛大学病院抗加齢・予防医療センターの抗加齢ドック受検者を対象として、サルコペニアの指標として大腿筋肉量、フレイルの指標としてsimple frailty score、動脈硬化症の指標としてbaPWVおよびRadial AI、認知機能の指標としてタッチパネルスコアやMCI Screen、インスリン代謝の指標としてHOMA-IRやHOMA-βを用いて評価した。また、上記の指標間相互の相関関係を解析した。特に、サルコペニアやフレイルと認知機能障害の相関を明らかにしつつ、それに関係してインスリン抵抗性上昇・分泌低下や動脈硬化症のかかわりについてさらに詳細に検討を行った。前腕皮下のAdvanced Glycation Endproducts (AGEs)の蓄積とサルコペニア、フレイル、認知障害の相関を解析し、AGEs測定がそれらのリスク予見の新たなバイオマーカーとして有用かも検討を行った。その結果、中高年男性においてサルコペニアのバイオマーカーとして皮膚組織に蓄積したAGEs測定の有用性を見出した(2019年に学会発表)。これにより、簡便な指標による高リスク群の検出や生活習慣改善の目標設定が可能となる。このように、サルコペニアやフレイルがどのように動脈硬化症、認知症や糖インスリン代謝異常とかかわっているかを明らかにすることで、加齢性健忘症やMCIから認知症への進展の予防や生活習慣上で留意すべきポイントを、老年医学的観点から社会に提言できると考えている。
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