研究課題/領域番号 |
17K15900
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
留野 渉 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00644957)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | C型慢性肝炎 / MRエラストグラフィ / 鉄代謝 / 脂質代謝 / 肝硬度 |
研究実績の概要 |
C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法前後での鉄蓄積、脂肪化の変化についてMR elastography(MRE)を用いて検討を行った。インターフェロンを用いない経口薬(Direct Acting Antivirals: DAAs)を用いた抗ウイルス療法の治療前、治療終了時、終了6か月後にMREを行い経時的変化を検討した。当該年度で検討を行ったのは52例であった。鉄沈着について血清フェリチン(ng/ml)が治療前113、終了時65.5、6か月後52であり治療終了時に治療前より有意に低下したが、MREで肝内鉄沈着を反映するR2*値(Hz)は治療前46.3、終了時48.4、6か月後47.9であり変化を認めなかった。ウイルス排除を達成しても肝内の鉄沈着は変化しないことが示唆された。今後、C型肝炎ウイルスの遺伝子型による鉄蓄積の変化の相違などについても検討を行う予定である。脂肪化についてはMREで測定した脂肪含有率(proton density fat fraction: PDFF)(%)が治療前2.6、終了時2.0、6か月後2.1と低値で推移し、治療前後で不変であったが、治療前から脂肪含有率の低い症例が大多数であり今後、治療前から脂肪肝を合併している症例についても検討が必要と思われた。肝内の鉄蓄積、脂肪化ともに肝発癌に関与する因子と考えられており、当該年度の検討では、これらの改善が乏しい症例、即ちウイルス排除後の発癌の高リスクとなり得る症例の囲い込みまでには至らなかったが、今後症例を蓄積し解析することでウイルス排除後の高リスク群の囲い込みに応用できる可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初の計画での目標症例数として50症例を設定しており、この症例数には既に到達している。また当該年度までの研究成果は2017年の日本肝臓学会西部会でその成果について学会発表を行っており、これらの点ではおおむね順調に進展していると考えられる。脂肪化については治療前の脂肪含有率が低い症例が大多数であったが、治療前から脂肪肝を合併していた例の検討も必要と思われ、これについては次年度の検討課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に当初の目標症例数には達しており、平成30年度前半は、結果についての解析を進めることを目標とする。具体的には、C型肝炎ウイルスの遺伝子型による鉄蓄積、脂肪化の変化の違いや、患者背景による相違などについても詳細な検討を行っていく。また可能であれば、治療前から高度の脂肪化、あるいは鉄蓄積を伴っている症例について追加して患者リクルートを行い、検討を行うことを目標とする。患者のリクルートに当たっては横浜市立大学・肝胆膵消化器病学スタッフの協力を得て行う。平成30年度後半はこれらの検討結果を元に、学会あるいは論文発表の形で研究成果を報告することを目標とする。
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