直接作用型抗ウイルス薬で治療したC型慢性肝炎52例を対象とした.治療前,治療終了時,終了6か月後に3テスラのMRIで肝硬度を測定し経時的変化を検討した.同時にT2*減衰をマッピングしROIを設定し肝内鉄沈着の評価(R2*値),proton density fat fraction (PDFF)により肝内脂肪化の経時的変化を検討した. 51例(98.1%)でSVR24が得られた.肝硬度(kPa)の中央値は治療前3.69,終了時3.01,6か月後2.59であり経時的に改善した(p<0.0001).ALT(IU/l)の中央値は治療前36.5,終了時14,6か月後14であり,肝硬度はALT正常化後も改善した.治療前の肝硬度に対する,6か月後までの肝硬度変化(kPa)の比を肝硬度変化率(%)とすると治療前ALT>30群で-34.2%であり,ALT<30群での-21.4%に比べ治療前ALT>30群の方がより変化率が大きかった(p=0.018).治療前AFP>8(ng/ml)群で変化率-44.8%であり,AFP<8群の-30.1%に比べ変化率が大きかった(p=0.009).鉄沈着は血清フェリチン(ng/ml)が治療前113,終了時65.5,6か月後52であり治療前により有意に低下したが,R2*値(Hz)は治療前46.3,終了時48.4,6か月後47.9であり変化しなかった.脂肪化はPDFF(%)が治療前2.6,終了時2.0,6か月後2.1と低値で推移し治療前後で不変だった. 治療によりALT正常化後も肝硬度は改善したが治療前ALT高値群で肝硬度改善率が大きく,肝硬度低下は肝内炎症が改善した影響を受けた可能性もある.フェリチンは低下したがR2*値は不変であり,SVRを達成しても肝内の鉄沈着は変化しない事が示唆された.脂肪化は治療前後で不変であったが治療前から脂肪化の少ない症例が大多数であった.
|