研究課題/領域番号 |
17K15902
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
松崎 広和 城西大学, 薬学部, 助手 (80582238)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 抗うつ作用 / 抗酸化作用 / フェルラ酸誘導体 |
研究実績の概要 |
現代のストレス社会において、うつ病は誰もが罹患する可能性のある精神疾患であり、その予防法および有効な治療薬が求められている。米ぬか等に含まれるフェルラ酸は、抗酸化作用や脳内モノアミン濃度の増加、神経新生の促進など様々な作用を介して抗うつ作用を示すことが報告されている。これまでに申請者らは、フェルラ酸をシード化合物として合成した新規フェルラ酸誘導体の抗酸化活性および細胞保護効果について評価を行っており、フェルラ酸よりも強い効果を示す化合物を見出している。そこで本研究では、抗うつ作用に着目してスクリーニングを行い、より優れた抗うつ効果を示す化合物を探索すること、およびうつ症状発症に対する予防・改善のメカニズムを解明することを目的とした。 平成29年度は、うつ病と酸化ストレスの関係に着目し、PC12細胞の過酸化水素処置による酸化ストレス障害に対する細胞保護効果を指標として効果の高い誘導体を選定し、その誘導体について動物実験により抗うつ効果の評価を行った。社会的敗北ストレスを負荷し、うつ様行動を示したモデルマウスに誘導体を慢性経口投与したところ、スクロース嗜好試験、強制水泳試験や尾懸垂試験など抑うつ評価系で比較的強いうつ様症状の改善効果が認められた。またストレス負荷による副腎の肥大に対しても、著名な改善効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、平成29年度に培養細胞を用いた候補化合物のスクリーニングを行い、次年度以降に動物を用いた抗うつ効果の検討を行う計画であったが、本年度内に動物実験まで遂行することが出来、その効果も比較的強いものであったため、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
詳細な用量依存性やメカニズムの検討を進めていく。抗うつ効果に対するセロトニン神経系やノルアドレナリン、ドパミン神経系の関与を調べるために合成阻害薬であるp-chlorophenylalanineおよびα-Methyl-L-tyrosineの前投与による検討や各種受容体の拮抗薬(WAY100135、ketanserin、SCH23390、sulpiride、haloperidoなど)を用いた検討を行う。また。神経新生に関与する因子(PKA、PKC、ERK、PI3K など)の阻害薬の前投与による検討を行う。 社会的敗北ストレスモデル動物を用いた検討において、脳サンプルを採取し BDNF、その受容体である TrkB、ERK、Akt、CREB タンパクの発現量を Western Blot 法により測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:学会参加の為の旅費を使用しなかったこと、論文の英文校正を利用しなかったため。 使用計画:メカニズム検討の為の動物および拮抗薬を購入する。
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