研究課題/領域番号 |
17K15910
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林 秀幸 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (60787810)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プレシジョンメディシン / 遺伝子パネル検査 / 膵がん |
研究実績の概要 |
2017年度は北海道大学病院がん遺伝子診断部を受診した膵がん患者を対象にクリニカルシークエンスの実臨床における現状をまとめた。膵がん20症例を対象に1実臨床で160のがん関連遺伝子を標的とした遺伝子パネル検査を実施し、再生検実施率(25%)、Druggable遺伝子異常検出率(25%)、二次的所見検出率(5%)、治療実施率(5%)、Turnaround time中央値(20日)、シークエンス実施後生存期間中央値(10.3ヶ月)などの膵がんクリニカルシークエンスにおけるreal-world evidenceを報告した。同研究成果を国内外の学会で報告し、現在英語論文を投稿中である。 さらに本研究に付随して膵がん遺伝子検査用の検体採取における新たな検体採取法として肝予備能検査に用いるindocyanine green (ICG)蛍光法を用いたエコーガイド下肝腫瘍生検法を開発した。同法の有用性につき2018年度に国内外の学会で報告予定としている。 また、膵がんにおける分子生物学的特徴が明らかになりつつあり、新たな治療標的の発見や低頻度ながらも既存の薬剤の治療標的となりうる遺伝子異常が検出されることが判明してきた背景から、Druggable遺伝子異常の検出率を向上させる目的で「膵がんの予後予測バイオマーカーとなりうる遺伝子群」「既存の抗悪性腫瘍薬の標的となりうる遺伝子群」「今後臨床導入が期待される抗悪性腫瘍薬の標的となりうる遺伝子群」「免疫チェックポイント阻害薬の有効性に関与する可能性が考えられる遺伝子群」の合計200の膵がん関連遺伝子を対象とした膵がん個別化治療開発に有用なオリジナル膵がん遺伝子パネルを作成した。今後、患者由来検体を対象に同遺伝子パネルの有用性を検証予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵がん患者における市販の遺伝子パネル検査でのActionableおよびDruggable遺伝子異常の検出率、および実臨床における問題点が明らかになった。 本研究課題における最重要事項であるオリジナル膵がん遺伝子パネルの作成が2017年度内に終了し、実際の患者検体での検証を見込める段階になったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在開発中のオリジナル膵がん遺伝子パネルを用いて、患者検体での有用性を検証する。具体的には現在英語論文投稿中の160のがん関連遺伝子を標的とした遺伝子パネル検査の成績と新たに開発した200の膵がん関連遺伝子を標的としたオリジナル膵がんパネルの有用性を比較検証し、ActionableおよびDruggable遺伝子異常の検出率の向上や新たな治療標的の検出につき検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初本助成金より支出予定であった試薬代などに他の研究費を充てたため。繰り越し分に関しては2017年度の研究成果の英語論文発表に係る費用に充てる予定。
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