研究課題
1、腸炎モデルマウス・炎症性腸疾患(IBD)におけるエクソソーム内RNA結合蛋白とRNAの発現と作用メカニズムの解析DSS急性腸炎モデルマウスの血液からエクソソームを回収し、エクソソーム内RNA結合蛋白の発現を解析した。DSS腸炎群では、コントロール群に比較してRNA結合蛋白hnRNP D、hnRNP K、PABPの発現が高い傾向があることを確認した。次にラットDSS急性腸炎モデルマウスを作成し、急性期・回復期において経時的に血液内エクソソームを回収したのち、DSS腸炎モデルマウスにおいて変化のあったRNA結合蛋白の変化について検討を行った。急性期においてhnRNP H・hnRNP K・PABPの発現低下および、経時的な回復傾向が確認された。炎症性メディエータ―や腸管炎症の程度との対比や、変化のあったRNA結合蛋白による免疫沈降後のRNAを網羅的解析することにより、標的RNAの解析を進める。また、活動期クローン病・潰瘍性大腸炎および健常者の血清より回収したエクソソーム内のRNA結合蛋白の変化を検討したところ、hnRNP Uの発現変化が認められた。多数例での解析、および標的RNAの網羅的解析を行うことで、腸炎病態に関連のあるエクソソーム内RNA結合蛋白・RNAの解析を計画している。2、炎症性腸疾患における腸管炎症・腸管外病変におけるRNA結合蛋白とmRNA・miRNAの相互作用と病態への関連クローン病活動期の患者血清を回収し、小腸・大腸上皮培養細胞、炎症細胞(単球芽培養細胞THP-1をマクロファージへ分化誘導し作成)に添加してサイトカインの変化を検討している。さらに患者血清より回収したエクソソームを添加することによるサイトカインの変化を検討し、腸管非連続性病変や腸管外病変の発生・進展におけるエクソソームの関連に関して検討していくことを予定している。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って研究が進捗しているが、追加解析や学会・論文報告の必要性などから研究期間の延長を行った。腸炎モデルおよび、炎症性腸疾患患者検体での解析から、血液中エクソソーム内のRNA結合蛋白の発現変化があることを同定しているものの、標的RNAの検討や腸炎病態との関連についての解析に関して、追加検討に時間を要している。また、研究成果の学会報告・論文作成も予定している。
腸炎モデルマウスや炎症性腸疾患患者検体での解析から、エクソソーム内RNA結合蛋白の変化があることが明らかとなった。今後の追加解析において、標的となるRNAの同定やRNA結合蛋白-RNA相互作用やエクソソームが腸炎病態にどのような関連があるかについて明らかにしていく。
追加研究・解析のため研究機関の延長申請を行っており、次年度での追加検討や学会・論文報告を行うため。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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