研究課題/領域番号 |
17K15916
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中野 絵里子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90779729)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膵炎関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
本年度は若年発症の特発性慢性膵炎患者とその両親(健常)とでトリオ解析を実施した。全エクソーム解析により患者でみられる新規変異を同定し、東北メディカル・メガバンクが所有する健常者ゲノムデータ・Human genetic variation databaseとの比較を行い候補遺伝子の絞り込みを行った。その結果、これまで膵炎関連遺伝子として報告されていなかった遺伝子Aについて、他の慢性膵炎患者でも変異が高率にみられることが明らかとなった。遺伝子Aについては変異による遺伝子産物の機能変化・発現細胞への影響を評価中である。全エクソームシークエンス結果と健常者遺伝子多型データベースの照合・候補遺伝子抽出プラットフォームが確立された。PRSS1やSPINK1といった既知の膵炎関連遺伝子異常の有無もあわせて確認できるため、指定難病として申請可能な変異を有する慢性膵炎症例の同定も可能となっている。 新規に同定された候補遺伝子について細胞モデルでの機能確認を可能とするため、発現ベクターの構築・site-directed mutagenesisによる変異体作成のプラットフォームを構築中である。機能確認に際しては遺伝子機能により評価方法が異なるため、適切な手法を検討中である。遺伝子機能に依らない、小胞体ストレス増加などの膵炎発症機序についてはXBP1発現や他の小胞体ストレスマーカーでの評価を試験的に実施している。次年度以降の新規膵炎関連遺伝子モデル動物作成のため、ゲノム編集用gRNA/CRISPR-Cas9発現ベクター作成にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、新たに膵炎と関連すると考えられる遺伝子の同定に至っている。同遺伝子の機能解析にも着手しており、本研究の進捗状況はおおむね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は同定した遺伝子の機能解析を更に進め、膵炎発症機序の解明を目指す。モデル動物作成・細胞モデルの作製も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は膵炎患者遺伝子解析に時間を要したため、次年度使用額が生じた。
来年度は細胞実験・動物実験を予定しており、次年度助成金と併せて使用予定である。
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