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2019 年度 実績報告書

腸内細菌叢の機能と呼応する上皮のシングルセル解析による肥満関連大腸発癌機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K15920
研究機関山形大学

研究代表者

佐々木 悠  山形大学, 医学部, 助教 (60466620)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード大腸発がん / 大腸癌 / 大腸腺腫 / 肥満 / インスリン抵抗性 / メタボリックシンドローム / LDL / E. faecalis
研究実績の概要

本邦では肥満、メタボリックシンドロームの増加を背景とした大腸癌が増加してきており、社会的な問題となっています。我々は、この肥満に関連した大腸癌の発癌機序を解明する研究を続けており、これにより本病態を抑制するために有効な新しい予防や治療を創出したいと考えています。近年、腸内細菌が生体のエネルギーの恒常性(ホメオスタシス)に深く関与していて、肥満やその中核的な病態であるとされるインスリン抵抗性を引き起こすことが報告されています。そこで本研究では、肥満に関連した大腸発がんに関わる腸内細菌叢およびその機能を同定し、代謝変化や大腸上皮の遺伝子変化と包括的に解析し、その発生機序を解明することを目的としました。
肥満関連大腸がん患者の腸内細菌叢を解析したところ、非肥満者に比べ腸内細菌叢の多様性に変化があり、特にE. faecalisと呼ばれる腸内細菌の減少が特徴的であることが分かりました。またこの細菌の量と血液中のLDL濃度(悪玉コレステロール)が相関していることも分かりました。パラフィン包埋組織から、一細胞を切り出し、シングルセルレベルの網羅的トランスクリプトーム解析を試みました。一細胞からの微量核酸の抽出や、その増幅を行い次世代シーケンサー用のライブラリー作成を試みましたが、未だこれには技術的困難さがあることが分かりました。そのため大腸腺腫(前がん病変、大腸ポリープ)および大腸癌の組織を用いて、癌に関連するとされる409個の遺伝子バリアント解析を行いました。その結果、肥満者の大腸腺腫および大腸癌に特徴的な遺伝子変化を複数同定することができました。
今後はこれらの機能解析も含めた更なる包括的な解析を行い、肥満に関連した大腸発がんの発生機序を解き明かすことで、本病態の征圧に向けた新しい標的の探索を続けたいと考えています。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Association between High Levels of Circulating Chemerin and Colorectal Adenoma in Men2019

    • 著者名/発表者名
      Yagi Makoto、Sasaki Yu、Abe Yasuhiko、Yaoita Takao、Sakuta Kazuhiro、Mizumoto Naoko、Shoji Masakuni、Onozato Yusuke、Kon Takashi、Nishise Shoichi、Ueno Yoshiyuki
    • 雑誌名

      Digestion

      巻: - ページ: 1~8

    • DOI

      10.1159/000501477

    • 査読あり
  • [学会発表] 大腸癌患者における腸内細菌叢と肥満・代謝異常との関連性2020

    • 著者名/発表者名
      東海林正邦、佐々木悠、上野義之
    • 学会等名
      第106回日本消化器病学会総会、パネルディスカッション
  • [学会発表] 肥満をリスク因子とする大腸腺腫とNAFLD合併例の検討2019

    • 著者名/発表者名
      佐々木悠、阿部靖彦、矢尾板孝夫、八木周、水本尚子、東海林正邦、小野里祐介、今孝志、上野義之
    • 学会等名
      第9回肥満と消化器疾患研究会、一般演題
  • [学会発表] Helicobacter pylori除菌後の体重変化~山形県コホートによる前向き検討~2019

    • 著者名/発表者名
      佐々木悠、阿部靖彦、上野義之
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会、シンポジウム
  • [学会発表] 進行大腸がん患者における腸内細菌叢の解析2019

    • 著者名/発表者名
      東海林正邦、佐々木悠、上野義之
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会、ワークショップ
  • [学会発表] Cell-free DNAと大腸癌組織のgene variantsの比較2019

    • 著者名/発表者名
      小野里祐介、佐々木悠、阿部靖彦、矢尾板孝夫、八木周、水本尚子、東海林正邦、今孝志、上野義之
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会、一般演題
  • [学会発表] Association between colorectal adenoma and nonalcoholic fatty liver disease: sharing common risk factors with obesity and metabolic syndrome2019

    • 著者名/発表者名
      Yu Sasaki, Yasuhiko Abe, Takao Yaoita, Makoto Yagi, Naoko Mizumoto, Masakuni Shoji, Yusuke Onozato, Takashi Kon, Shoichi Nishise, Yoshiyuki Ueno
    • 学会等名
      American Gastroenterological Association, DDW2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 大腸腺腫における肥満、メタボリックシンドローム~非アルコール性脂肪肝および脂肪膵の合併例の検討~2019

    • 著者名/発表者名
      佐々木悠、阿部靖彦、上野義之
    • 学会等名
      第98回日本消化器内視鏡学会総会, JDDW2019 第26回日本消化器関連学会週間、ワークショップ
  • [学会発表] 大腸癌患者における体重維持と腸内細菌叢の関連2019

    • 著者名/発表者名
      東海林正邦、佐々木悠、阿部靖彦、矢尾板孝夫、八木周、水本尚子、小野里祐介、今孝志、上野義之
    • 学会等名
      第61回日本消化器病学会大会, JDDW2019 第26回日本消化器関連学会週間、一般演題

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公開日: 2021-01-27  

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