原発性胆汁性胆管炎(PBC)は胆管上皮障害を特徴とする疾患であり予後良好な緩徐進行型、予後不良な門脈圧亢進症型、肝不全型に分類されるがその病因は未 だ解明されていない。以前我々はmicroRNA に着目し、網羅的解析によりPBC病型毎に異なる発現パターンを持つことを特定した。また、PBC肝内リンパ球におい てmiR-139-5pが高発現しc-FOS抑制を介した新規炎症制御メカニズムを初めて解明した。本研究ではこれらの成果を発展させ、miR-139-5pがPBC病態進行に関与し うる特異的な因子として着目し、最終的には分子標的治療薬の開発へと発展させることを目的としている。 最終年度に実施した研究内容はPBCモデルマウスであるNOD.c3c4マウスを用いてmiR-139-5pのin vivo実験を行った。 NOD.c3c4 マウスの尾静脈に miR-139-5p(lipofection 法)を投与する。microRNA は肝臓内で強発現させるを用いた。比較対象群としてPBS投与群を設定した。始めの投与から 24h、48h、72h 後に同様の 手技を繰り返し合計 3 回の microRNA injection を各マウス群で行った。miRNA 投与量はプロトコールに従い行った(7mg/kg/匹)。最後の投与から 24h 後に各マウスの肝組織と血液を採取し、肝組織中のmiR-139-5p発現量をリアルタイム PCR で確認し、肝内発現増加を認めた。肝組織検査では病理学的に胆管周囲のリンパ球浸潤は改善は明らかでなかったが、炎症性サイトカインのTNF-aはmiR-139-5p 投与マウス軍で有意な低下を認めた。miR-139-5pのPBCにおける病態改善効果の可能性が示唆された。
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