研究課題
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、慢性進行性の胆汁鬱滞性肝疾患であり、胆管上皮細胞に対する自己免疫反応の関与が示唆されている一方で、その発症・進展機序は未だ不明なままである。疾患の罹りやすさに関連する遺伝子を網羅的に探索するゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いて、申請者らの研究グループはこれまでにヒト白血球抗原遺伝子群(HLA)をはじめとする多数の日本人PBC感受性遺伝子領域を同定してきた(Kawashima M, Hitomi Y, et al. 2017、Hitomi Y, et al. 2019など)。令和元年度は、日本人PBC感受性遺伝子領域の一つである11番染色体q23.1において、発症に直接寄与する機能的遺伝子多型(causal variant)の同定、PBC発症機序の解明を目的として、以下に示す研究を実施した。まず、2,049例の全ゲノムDNA配列データ(東北大学東北メディカル・メガバンク機構が保有)を参照配列とするインピュテーション解析およびHigh-density association mappingのデータを利用し、PBC感受性との非常に強い関連(P < 5.0 × 10-6)を示す42ヶ所の一塩基多型(SNP)を検出した。さらに、in silico解析・in vitro機能解析を実施し、COLCA1およびCOLCA2の発現に寄与するSNPの一つを、causal variantとして同定するとともに、CRISPR/Cas9を利用するゲノム編集などを用いて、このSNPに起因する発症メカニズムを解明した。また、e-QTL(発現量的形質遺伝子座)解析において、COLCA1およびCOLCA2とこのSNPの間で、非常に強い相関が観察された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
Hepatology Communications
巻: 4(5) ページ: 724-738
10.1002/hep4.1497.