研究課題/領域番号 |
17K15934
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
寺島 健志 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 特任准教授 (90775305)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 抗腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、免疫学的観点から個々の患者に最適な医療を提供することで、難治性である消化器癌の治療成績向上に寄与することである。 平成29年度は、主な研究テーマである「肝細胞癌に対する抗腫瘍免疫反応の意義の解明」について、これまでに構築した研究実施体制に基づき、別途策定した研究計画に沿って、以下の①~③の研究を実施した。 ①:当院にて肝細胞癌と診断されて切除が行われた肝細胞癌患者の同定、②:病理診断後に保存された病理検体の病理学的レビュー及び薄切切片の作成、③:②のうち、約100例について、病理検体を用いて、肝細胞癌局所に浸潤した免疫細胞に発現する表面抗原の網羅的な染色(延べ2000枚以上の免疫染色の実施)。 以上のように、腫瘍に浸潤した免疫細胞の数、特性、局在を評価することで、肝細胞癌局所に浸潤した免疫細胞に発現する表面抗原の網羅的なプロファイルが得られた。 一部の表面抗原については、平成30年度に実施予定であった、治療後の生存期間との関連についての予備的な検討を開始しており、発現が認められる免疫細胞については、腫瘍周囲及び周囲内部への浸潤が、癌切除後の無増悪生存期間及び生存期間と関連している知見が得られた。また、切除後再発した症例に対して化学療法を実施した症例において、免疫細胞の浸潤と、化学療法の治療成績とに関連が認められた(未発表データ)。これらの所見は、腫瘍因子のみならず、患者の抗腫瘍免疫反応により、治療効果や患者予後が異なる可能性を示唆する所見である。今後、必要に応じて更に症例を蓄積した上で、残りの表面抗原についても同様に解析した結果に基づき抗腫瘍免疫応答の違いによる肝細胞癌の新たなグルーピングを行い、患者背景因子、治療効果及び患者予後との関連を詳細に検討することにより、治療選択に際して新たな有益な情報を付加することが可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、主な研究テーマである「肝細胞癌に対する抗腫瘍免疫反応の意義の解明」について、これまでに構築した研究実施体制に基づき、別途策定した研究計画に沿って、以下の①~③の研究を実施した。 ①:当院にて肝細胞癌と診断されて切除が行われた肝細胞癌患者の同定、②:病理診断後に保存された病理検体の病理学的レビュー及び薄切切片の作成、③:②のうち、102例について、病理検体を用いて、肝細胞癌局所に浸潤した免疫細胞に発現する表面抗原の網羅的な染色(延べ2000枚以上の免疫染色の実施)。 以上のように、腫瘍に浸潤した免疫細胞の数、特性、局在を評価することで、肝細胞癌局所に浸潤した免疫細胞に発現する表面抗原の網羅的なプロファイルが得られた。 一部の表面抗原については、平成30年度に実施予定であった、治療後の生存期間との関連についての予備的な検討を開始しており、発現が認められる免疫細胞については、腫瘍周囲及び周囲内部への浸潤が、癌切除後の無増悪生存期間及び生存期間と関連している知見が得られた。また、切除後再発した症例に対して化学療法を実施した症例において、免疫細胞の浸潤と、化学療法の治療成績とに関連が認められた(未発表データ)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、別途策定した研究計画に沿って、下記①及び②の研究を平成30年度に実施する予定である。 ①:末梢血単核細胞(PBMC)を用いた全身の抗腫瘍免疫反応の検討と局所の抗腫瘍免疫反応との関連、②患者の臨床病理学的因子に関する情報の収集と局所の抗腫瘍免疫反応との関連 ①について、肝細胞癌患者から得られたPBMCについて、表面抗原の免疫染色を行うとともに、各種免疫学的アッセイ法(ELISPOTアッセイ、CTLアッセイ、テトラマー法)により、TAAに対する特異的な免疫反応の有無を評価する。得られた結果を、平成29年度の検討でグルーピングされた患者群間で比較し、局所の抗腫瘍免疫反応を反映した、より簡便に利用可能な因子を探索する。 ②について、肝細胞癌患者の患者背景(臨床的因子:年齢、性別、全身状態、血液検査所見:肝機能、腫瘍マーカー、画像検査所見:腫瘍径、脈管侵襲、遠隔転移、病理学的因子:分化度、免疫染色所見、治療効果:無増悪生存期間、患者予後:全生存期間)に関する情報を収集する。得られた結果を、平成29年度の検討でグルーピングされた患者群間で比較し、局所の抗腫瘍免疫反応を反映した、より簡便に利用可能な因子を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通り助成金を使用することができた。次年度使用額については、当初計画金額に上乗せして使用予定である。
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