まず、肝培養細胞に対してTNF-α、IL-1βによる炎症性サイトカイン刺激を行い、経時的に細胞を採取してRNAを抽出し、各時相における、各種error-prone DNA polymerase関連遺伝子の発現変化の有無を、realtime RT-PCR法を用いて解析した。 その結果、主要なDNA修復機構のひとつである塩基除去修復システムにおいて重要な役割をもつUracil-DNA glycosylase(UNG)の発現が、各種炎症性サイトカイン刺激により低下することがわかった。 次に、肝炎ウイルス感染に起因する、肝細胞癌症例の外科的切除標本の非腫瘍部(慢性肝炎もしくは肝硬変組織)、および肝移植ドナーの正常肝組織を用いて実験を行った。 各肝組織サンプルからRNAを抽出し、同様に、各種error-prone DNA polymerase関連遺伝子の発現変化の有無を、realtime RT-PCR法を用いて解析したところ、やはりUNGの遺伝子発現レベルが、慢性肝炎および肝硬変組織において、正常肝組織と比較して有意に低下していることが明らかとなった。 次に、microRNAデータベース(TargetscanHuman)を用いたin silico解析により、UNG mRNAの発現制御に関与している可能性のあるmicroRNAを検索したところ、hsa-miR-18a、hsa-miR-18b、hsa-miR-4735-3pの3種類のmicroRNAが候補に挙がった。
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