研究実績の概要 |
細胞株を用いた解析においては、各種肝癌細胞株(HepG2, Huh7, HLF, Alex, Hep3B)においてCTGFの発現量を比較したところ、HepG2が最も高発現であり、Alexが最も低発現であった。そこでAlexに対しCTGFのリコンビナントタンパクを添加し、細胞増殖能の変化について検討したが、CTGFを添加しても増殖能に変化は認めなかった。さらにAlexに対しCTGF発現プラスミドを導入してCTGF強制発現株を作成した。強制発現株の増殖能についてin vitroおよびxenograftモデルを用いて検討したが、コントロール細胞と比較し差を認めなかった。またHepG2に対しsiRNAを用いてCTGFの発現を抑制したが、増殖能に変化は認めなかった。 モデルマウスを用いた解析においては、交配により肝細胞特異的CTGF欠損KrasG12Dマウス(Alb-Cre KrasG12D CTGF fl/fl)を作成した。8か月齢での解析を予定しており、現在解析をすすめている。また3か月齢のKrasG12Dマウスに対してCTGF中和抗体の投与を開始しており、8か月齢での表現型について平成30年度に解析する予定である。また8か月齢時点において発癌を認めたKrasG12Dマウスに対しCTGF中和抗体を投与し、経時的にCTを撮像し腫瘍増殖を評価する予定としているが、交配によりKrasG12Dマウスの作成は完了しており、平成30年度に中和抗体の投与および解析を行う予定としている。 臨床試料を用いた解析においては、ヒト肝細胞癌切除試料を用いて癌部・非癌部におけるCTGFの遺伝子発現を比較した。その結果癌部では非癌部に比しCTGFの発現が上昇しており、CTGFを高発現する肝癌は臨床的悪性度が高いことが明らかとなった。今後はCTGFの発現量と予後との関連について解析を進めていく予定としている。
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