研究課題/領域番号 |
17K15948
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 敦司 広島大学, 病院(医), 病院助教 (80774645)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝がん / 血中循環腫瘍DNA |
研究実績の概要 |
申請者らはこれまでにソラフェニブ、レゴラフェニブ、レンバチニブにて加療を行った進行肝がん症例の変異プロファイルは治療奏功性を予測できうるか、また、そのプロファイルは治療経過中に変化するかということを明らかにするため、治療開始前、及び治療経過中の血漿を収集してきた。そのうち、ソラフェニブ治療例(治療前/経過中 10/24検体)、レゴラフェニブ治療例(治療前/経過中 10/22検体)、レンバチニブ治療例(治療前/経過中 10/20検体)の進行肝がんの血漿からcell free DNA(cfDNA)の抽出を行った。 次に、The Cancer Genome Atlas (TCGA)及びInternational Cancer Genome Consortium (ICGC)のデータベースをもとに、肝がんで体細胞変異の頻度が高い10遺伝子を選定し、イルミナ製次世代シークエンサーでのシークエンスのためのカスタムパネルを作成した。本パネルの標的とする遺伝子は、データベース上は60%-70%以上の肝がんでいずれかに変異を認めると予測される。 最初に作成したパネルは分子バーコードを有しておらず、低頻度の変異の検出が困難であったため、分子バーコードを有したパネルを再設計し、予備的実験にて1%以下の低頻度の変異検出にも有用であることが確認できた。そこで、このパネルを用いて抽出したcfDNAを、次世代シークエンサーでの解析用にライブラリー調整を行った。 また、PD1陽性T細胞の浸潤がソラフェニブによる治療を行った際の生存に影響することが最近報告されたため、申請者らは免疫細胞の免疫染色を行い、肝がんにおける免疫細胞浸潤様式のパターン化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般的にctDNAの変異アレル頻度は低頻度であることが知られているが、最初に作成したパネルでは低頻度の変異アレルの検出が困難であり、パネルの再設計が必要となったため。現在は分子バーコードを有したパネルを作成し、低頻度の変異アレルの検出が可能であることは確認できており、本年度は研究の推進が期待できる。また、研究を進めるうちにがん組織学的なも、肝がんにおける治療効果を解析するうえでは重要であると考えたため、当初の予定にはなかった免疫染色による免疫細胞浸潤とPD-L1等の免疫制御分子の評価も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
上記パネルにてライブラリー調整を行ったcfDNAを、5000 カバレッジを目標にシークエンスを行う。変異検出の後、変異プロファイルの解析を行い、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、レンバチニブにて加療を行った進行肝がん症例の変異プロファイルは治療奏功性を予測できうるか、また、そのプロファイルは治療経過中に変化するかということを明らかにする。また、免疫細胞の浸潤様式と体細胞変異プロファイルとの相関についても解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に若干の遅れが生じたため、シークエンスまで到達しなかったため。翌年度分の助成金とあわせ、シークエンスを行う予定である。
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