研究課題/領域番号 |
17K15950
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田中 宏典 徳島大学, 病院, 医員 (40792388)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | DPC / アポトーシス |
研究実績の概要 |
肝癌細胞株HuH-7およびHepG2を用いて0-20μMの抗癌剤ミリプラチン(DPC)、およびシスプラチン(CDDP)を投与し、72時間後にWST-8アッセイにより生細胞数を評価したところ、濃度依存的に細胞生存率の低下を認めた。また同細胞に対して日立X線照射装置を使用し0-10GyのX線照射を行い120時間後にWST-8アッセイを行ったところ、線量依存的に細胞生存率の低下を認めた。WST-8各治療後の細胞を用いて抗癌剤とX線の相乗効果をmedian-effect法によりcombination indexを算出したところ、DPCとX線の併用ではcombination indexは1未満となり相乗効果あると判断されたが、CDDPとX線の併用には相乗効果を認めなかった。また、同細胞を用いて併用による抗腫瘍効果をコロニー形成法でも評価したところ、併用群にて最もコロニー数が少なく、相乗効果が確認された。抗腫瘍効果の機序としてアポトーシスとの関連をフローサイトメトリー法によりAnnexin-V陽性細胞数で評価したところ、抗癌剤単独、X線単独および併用によりアポトーシス誘導が確認されたが、併用群が最も強かった。同様にウエスタンブロット法によりアポトーシスを評価したところ、抗癌剤の濃度依存性、X線の線量依存性にcleaved PARP発現が増加しており、併用によりより強くcleaved PARPの発現増加を認めた。また、各治療後の細胞を用いてアポトーシス関連蛋白を評価したところ、各治療によりPUMAが誘導されており、また、抗癌剤とX線の併用ではPUMAの発現はより増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗癌剤およびX線の効果発現のタイミングが異なっていたため、相乗効果を検討するにあたり、指摘タイミングを検討することに時間を要したが、実験最適と判断される抗癌剤の濃度、X線量、時期の決定後は予想した結果を得ることができた。ウエスタンブロット法に関しても当初は目的の蛋白の検出が不良であったが、タンパク量、抗体濃度等を検討することにより、結果を得ることが可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
相乗効果に関わると考えられたアポトーシス関連蛋白PUMAをsiRNAを用いてノックダウンし、アポトーシス誘導の減少を研究する。また、花田らの方法によりヌードラットの肝臓左葉内に肝癌細胞株を移植し、肝癌動物モデルを作成する。肝癌動物モデルを開腹後後、カテーテルを肝動脈内に挿入し、結紮固定する。ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルにミリプラチンおよびシスプラチンを懸濁し、カテーテルより抗癌剤の肝動脈内投与を行う。直後に動物用X線照射装置を用いてX線を照射させる。治療後の体重変化量を記録し経過を観察する。3週後に腫瘍組織を摘出し、腫瘍サイズを測定する。また、摘出腫瘍組織を用いてアポトーシス、オートファジー関連蛋白の発現を調べる。検討する蛋白としては検討する蛋白の発現としては、p62、LC3、Caspase3、8、9等を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の共有などにより物品費が削減可能で旅費も削減できたため次年度費用額が生じた。次年度にはノックダウン実験やオートファジー確認実験、動物実験、また、国際学会での発表などに使用する予定である。
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