研究実績の概要 |
①通常酸素環境下と低酸素環境下でのc-Rel発現の検討: 膵癌細胞株(Panc1)における通常酸素環境下と低酸素環境(DFO暴露)下でのc-Rel発現を比較検討した. Panc1細胞を培養後に, c-RelのmRNAをq-PCRで, タンパク量をWB法で検討した. その結果, 低酸素環境下で有意にc-Relの発現高値であった. ②c-rel inhibitor(IT-901)のc-Rel抑制効果の検討: 次にPanc-1に対し, 低酸素環境下でIT-901を様々な濃度で48時間暴露し,c-Relの発現を検討した. その結果, IT-901の濃度依存性にc-Relは発現低下していた. ③IT-901による膵癌細胞株に対する細胞増殖能, アポトーシス誘導能の検討: Panc-1に対し低酸素環境下でIT-901を様々な濃度で48時間暴露し, MTS assayで細胞増殖能を検討した.その結果, 濃度依存性に細胞増殖抑制が見られ, アポトーシス誘導能はCaspase 3活性アッセイとWBで測定し, IT-901の濃度依存性にCaspase 3発現が上昇していた. IC50は5-10μMの間にあり以後の実験はIT-901の濃度を10 μMで施行した. ④EMT, stem-like featuresへの誘導の抑制効果の検討: 低酸素環境下において, Panc-1に対し, IT-901濃度10 μMにおける効果を検討した . IT-901暴露下ではIT-901非暴露下と比べ, EMTマーカーであるN-カドヘリンやビメンチンのmRNAが有意に低下し, WBでも同様の結果であった. またFACSでstem-like featuresのマーカーのALDH1も有意に低下していた. ⑤膵癌細胞株の皮下の担癌マウスを用いたIT-901の治療効果の検討: 現在, マウス実験計画を申請準備中である.
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