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2017 年度 実施状況報告書

大腸鋸歯状病変の分子異常解析からアプローチする内視鏡診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K15959
研究機関札幌医科大学

研究代表者

若杉 英樹  札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90784314)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード鋸歯状病変 / 大腸がん / メチル化
研究実績の概要

鋸歯状経路(serrated pathway)と呼ばれる新たな発がん経路が注目されている。しかしながら鋸歯状腺腫(Traditional serrated adenoma, TSA)や、腺腫から鋸歯状変化を来す病変(adenoma with serration)の臨床病理学的特徴にはいまだ不明な点が多い。本研究ではゲノム・エピゲノム解析と臨床的研究を融合することで、鋸歯状経路の分子異常とそれを反映する臨床病理学的特徴・内視鏡所見を明らかにし、鋸歯状病変の内視鏡診断に応用することを目的とした。
鋸歯状病変のうちTSA特異的にメチル化する遺伝子としてSMOC1を同定した。多数検体を対象とした解析の結果、TSAのSMOC1メチル化レベルはSSA/Pと比較して有意に高く(P<0.01)、癌化を伴うTSAにおいてはさらに上昇する傾向にあった。またSMOC1のメチル化レベルはKRAS変異およびCIMP-lowと正の相関を示した。RT-PCRおよびIHC解析の結果、正常組織およびSSA/Pと比較してTSAで有意なSMOC1発現低下が認められた(P<0.001)。SMOC1はTSAにおいて高頻度にメチル化しており、TSAの発育進展に関与する可能性が示唆された。またSMOC1発現は、鑑別困難な鋸歯状病変の診断に有用であると考えられた。
内視鏡、病理、分子異常を統合解析した結果、TSAに特徴的な内視鏡所見として伸びたⅡ型ピットパターン(Ⅱ-L pit)とⅣ型ピットが混在していることを明らかとした。Ⅱ-L +Ⅳ pitを呈する病変はTSA, KRAS変異、CIMP-Low, SMOC1高度メチル化、Ⅱ +Ⅳ pitはTSA, BRAF変異, SMOC1中等度メチル化, CIMP-Low-Negative, Ⅱ-open +Ⅳ pitはSSA/P with cytological dysplasia, BRAF変異, CIMP-High, SMOC1非メチル化と相関することを明らかとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定どうり進んでいる

今後の研究の推進方策

新規分子異常、内視鏡所見を同定した、実臨床への応用へ向けた臨床研究を進めている

次年度使用額が生じた理由

当初の予算をかけずに、予定より順調に計画が進んでいる。さらなる発展、今年度の実際への臨床応用に向けての研究に費やす予定

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公開日: 2018-12-17  

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