研究課題
1つ目の課題である、DAA治療不成功例に対しての薬剤変異の検討では、現在実臨床で全国多施設でグレカプレビル/ピブレンタスビル(GLE/PIB)不成功例に対して、不成功例の薬剤耐性変異を検討している。GLE/PIBの治療効果は良好であるため、症例数は少ないが、特にゲノタイプ2型、3型でNS5A領域の変異を認めた。2つ目の課題である、ウイルス排除後の肝発癌検討について、SVR症例のゲノムを全国多施設から収集し、その検体に対して臨床情報と合わせて検討した。我々はIFNベース治療でSVR後発癌に寄与する因子としてTLL1 (rs8099917)遺伝子多型 を報告したが、IFNフリーDAA治療でSVR24を達成した約1100例においてTLL1遺伝子多型の解析を行った。DAA治療前、ウイルス学的著効(SVR24)時点における臨床データと遺伝的要因を合わせて検討すると、DAA治療終了後1年以降の初発肝癌の検討では、SVR24時点におけるAFP、Fib4、TLL1 AT+TT群がSVR後初発肝癌の有意なリスク因子であった。またTLL1 (rs8099917) AT+TT群ではAA群に比べ優位に累積発癌率が高かった。さらにFib4、AFP、TLL1を組み合わせることで、発癌高リスク群を効率に囲い込みが可能であった。以上の結果について、J Gastroenterol. 2019 Apr;54(4):339-346.に論文報告を行った。また肝硬変、高齢者は発癌のリスク因子であるが、それ以外で発癌に関わる因子を検討し、Hepatol Int. 2019 Sep;13(5):587-598に報告した。またHCV排除後、肝硬変を含めほとんどの症例は肝予備能は改善するが、一部で肝予備能悪化する症例があり、肝予備能悪化に関わる因子を保存血清から検討している。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
J Gastroenterol.
巻: 54 ページ: 339-346
10.1007/s00535-018-1526-3
Hepatol Int. 2019 Sep;13(5):587-598
巻: 13 ページ: :587-598
10.1007/s12072-019-09974-z