研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)慢性感染者におけるB型肝炎関連肝癌の早期診断・発癌予測に有用なバイオマーカーの候補となる末梢血中のmicroRNAをマイクロアレイを用いて探索した.B型肝炎のため通院中に肝発癌を来した患者10人(発癌群)とB型肝炎関連肝癌に関連する年齢、性別、臨床病型(HBVキャリア、慢性肝炎、肝硬変)、HBV genotype、HBe抗原、核酸アナログ製剤内服の有無をマッチングさせた非発癌患者10人(対照群)の計20人を設定した.発癌群の肝発癌時の血清と対照群の血清から totaal RNAを抽出し,GeneChip miRNA 4.0 arrayを用いて解析を行った。6599 non coding RNAの中で2群間で有意な差異を認めたmicroRNAはmiR-548aおよびmiR-1281, miR-4634,miR-4646-3p,miR-4659aの5種類であり,肝発癌群でmiR-548a and miR-4646-3pはup-regulate、miR-1281, miR-4634, and miR-4659aはdown-regulateされていた.miR-1281はp53に関連して骨肉腫細胞のアポトーシス誘導に関与することが報告されている.B型肝炎関連肝癌のドライバー変異としてTP53変異が報告されおり,肝発癌の初期段階においてもこれらのmicroRNAの関与する可能性が示唆された.
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