研究課題/領域番号 |
17K15965
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
安藤 航 北里大学, 薬学部, 助教 (60586387)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 |
研究実績の概要 |
本年度は作製したCXCR4マクロファージ特異的コンディショナルノックアウトマウスから骨髄を採取し、M-CSFを用いて骨髄由来マクロファージ(BMM)へ分化誘導させ脂肪酸の添加によるインフラマソームの活性化について検討した。対照群にはLysM-Creを導入していないCXCR4^flox/floxマウスを用いた。まず、BMMにオレイン酸およびパルミチン酸を添加し、48時間培養した細胞から抽出したタンパク質を解析したところ、インフラマソームの活性化の指標であるCaspase-1およびCleaved Caspase-1の発現を観察した。CXCR4ノックアウトBMMにおいて、Caspase-1の減少と、Cleaved Caspase-1の増加がみられたことから、CXCR4ノックアウトBMMにおいてインフラマソームの活性化が誘導されていることが示唆された。 並行して、in vivoにおける野生型マウスを用いたCXCR4阻害薬の経口投与における脂肪肝炎進展抑制作用の検討を実施した。野生型のC57BL/6マウスにコリン欠乏メチオニン添加高脂肪餌を与え、CXCR4阻害作用が確認されているシリビニンを100 mg/kg/dayにて12週間経口投与したところ、本来8週目から12週目にかけて高度に肝臓の炎症と脂肪化が進展するが、シリビニンを投与した群において門脈周囲の炎症の抑制が確認された。 本年度ではCXCR4は脂肪酸添加BMMにおけるインフラマソームの活性化に関係することが示唆され、また、野生型マウスにおけるCXCR4阻害剤は脂肪肝における炎症作用の抑制が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、前年度よりLys-M CreマウスとCxcr4^ flox/flox マウスを掛け合わせることでマクロファージ特異的Cxcr4欠損マウスを作製し、高脂肪食給餌を用いた実験を計画していたが、遺伝子欠損マウスの繁殖および交配に遅れが発生したため、「(3)やや遅れている。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度では、遅れていたLys-M CreマウスとCxcr4^flox/floxマウスの繁殖と交配を進め、十分な数が確保できる見込みである。CXCR4欠損マウスと高脂肪食給餌を用いたNASHモデル動物におけるインフラマソームの活性化やNASH進展抑制作用について肝組織および血液サンプルを用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の予算執行は動物実験に必要な動物の導入に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。2020年度において遅れていた実験に対して次年度使用額分を使用する予定である。
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