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2018 年度 実績報告書

腸内細菌-腸管上皮-免疫応答の一連反応観察のための新規オルガノイド培養法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 17K15968
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

佐々木 伸雄  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (30777769)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードオルガノイド / 組織幹細胞 / 腸内細菌
研究実績の概要

本研究は,腸内細菌が宿主に及ぼす生理的意義を分子レベルで詳細に解析するための新規ex vivoシステムを構築することを目的としている.
申請者は,従来の3次元組織幹細胞培養法によって樹立されたヒト正常腸管上皮由来の小腸・大腸オルガノイドから,1ヶ月以上の長期間渡り安定的に2次元の状態で腸管上皮細胞を培養する系の確立に成功した.この方法で培養された上皮細胞は,細胞間接着構造であるアドへレンスジャンクションやタイトジャンクションや,頂部-基部軸に沿った極性を正常に形成していていることが確認された.さらに生体内の腸管上皮を構成している幹細胞や機能性分化細胞の発現を確認したところ,全ての種類の細胞が混在した状態で長期間維持された状態で培養されていることが確認された.
次に腸内細菌研究における2次元腸管上皮培養法の有用性を検証するために,申請者らの研究室で原発性硬化性胆管炎(PSC)の患者糞便から単離した責任細菌の機能解析を行った.その結果,PSC責任細菌は腸管上皮細胞の特定の細胞においてアポトーシスを誘発することが明らかとなった.同様の実験を古典的な大腸癌由来の細胞株(Caco-2やHCT116)を用いて行ってみたところ,正常腸管上皮細胞で観察されたようなアポトーシスによる上皮障害は全く観察されなかった.申請者らは単離された病原性細菌を無菌マウスに投与し,このマウスにおいて粘膜バリアが崩壊し,腸管外に細菌が遊走することを確認している.
以上の結果より,本課題研究で開発された新規2次元ヒト腸管上皮細胞培養法は,腸内細菌の生理的機能を簡便に検証するため新しいツールとなることが示され,今後は腸管上皮細胞を標的としたプロバイオティクスの開発研究などの一助になりうることが示唆された.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Intra-tumour diversification in colorectal cancer at the single-cell level2018

    • 著者名/発表者名
      Roerink Sophie F.#、Sasaki Nobuo#(#co-first author)、Lee-Six Henry、et al.,
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 556 ページ: 457-462

    • DOI

      10.1038/s41586-018-0024-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Studying cellular heterogeneity and drug sensitivity in colorectal cancer using organoid technology2018

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Nobuo、Clevers Hans
    • 雑誌名

      Current Opinion in Genetics & Development

      巻: 52 ページ: 117-122

    • DOI

      10.1016/j.gde.2018.09.001

  • [雑誌論文] Automated brightfield morphometry of 3D organoid populations by OrganoSeg2018

    • 著者名/発表者名
      Borten Michael A.、Bajikar Sameer S.、Sasaki Nobuo、Clevers Hans、Janes Kevin A.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1038/s41598-017-18815-8

    • 査読あり
  • [学会発表] オルガノイド研究の礎~応用~未来2018

    • 著者名/発表者名
      佐々木 伸雄,佐藤 俊朗
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2018
    • 招待講演
  • [学会発表] Application of organoid for the study of interaction between host and microbes2018

    • 著者名/発表者名
      佐々木 伸雄
    • 学会等名
      Looking to the future of Developmental Cell Biology
    • 招待講演
  • [学会発表] 大腸がんにおいて1細胞レベルで明らかにされた単一腫瘍内における不均一性の網羅的解析2018

    • 著者名/発表者名
      佐々木 伸雄
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [備考] ライフサイエンス新着レビュー 佐々木 伸雄,Hans Clevers

    • URL

      http://first.lifesciencedb.jp/18158

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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