研究実績の概要 |
良性胆道疾患と、胆道癌に関して、採取した胆汁、各々3検体ずつ用いて解析を行い、両群に統計学的有意差を持って差がでる物質を同定することを目的として解析を行った。内部標準物質の濃度が50μMとなるように調整した450μLのメタノール溶液に50μLの胆汁を添加して攪拌を行う。これに500μLのクロロホルム及び200μLのMilli-Q水を加えて攪拌し、遠心分離を行った。遠心分離後、水層を限外濾過チューブに200μL移し、遠心後、限外濾過処理を行った。濾過を乾固させ、再び50μLのMilli-Q水に溶解し測定に共した。陽イオン性代謝物質及び陰イオン性代謝物質の測定をCE-TOFMS systemにて行った。CE-TOFMSで検出されたピークは、自動積分ソフトウェアのMasterHands ver.2.17.1.11を用い、シグナル・ノイズ比が3以上のピークを自動抽出し、質量電荷比、ピーク面積値、泳動時間を得る。得られたピーク面積を相対面積値に変換し、アダクトイオン及び脱水、脱アンモニアなどのフラグメントインなどの分子関連イオンを削除した。検出されたピークについて、代謝物質ライブラリに登録されている全物質と照合、検索を行った。結果、107のピークが得られた。これらを用い、最も悪性群と良性群の識別に寄与する可能性である物質Aが同定された。さらに二次試験として、胆汁中に含まれる物質Aを、悪性4例、良性2例の保存胆汁の解析し、その定量を行った。下記に物質Aの濃度を示す。 1 悪性 3.1μmol/L 2 悪性 3.1μmol/L 3 悪性 4.6μmol/L 4 悪性 2,1μmol/L 5 良性 7.4μmol/L 6 良性 6.4μmol/L 以上のように、良性では高い濃度を示す物質Aは、悪性では低い傾向があることが示された。
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