毛細血管は内皮細胞からなるチューブの外側を周細胞が被覆する構造をとる。周細胞は血管構造の安定化や、透過性の調節などの機能に関わる。最近、この周細胞の一部に多分化能をもつものがあり、組織のリモデリングに作用し、恒常性に関与することが示唆されている。申請者らは以前、SV40T抗原トランスジェニックマウスより、マウス毛細血管由来周細胞株を樹立した。この際に複数樹立した周細胞株の中から多分化能の異なる細胞株群間で網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、多分化能をもつ周細胞に特異的な表面マーカーを同定した。この特異的マーカーを用い、マウス正常組織(皮下脂肪・骨格筋等)から多分化能をもつ周細胞の分離に成功した。また、前述の網羅的遺伝子解析の結果から、多分化能と連関すると考えられる因子を複数抽出した。 本申請研究ではこのスクリーニングで見出した因子に対して、多分化能をもつマウス毛細血管由来周細胞の血管新生形成能を中心とした検討を行った。その結果、マウス周細胞における同因子の発現の低下は血管新生能を亢進させることを見出した。
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