2018 年度研究成果報告書

慢性血栓塞栓性肺高血圧症における新規病因遺伝子の検討

研究課題

PDF

研究課題/領域番号	17K15982
研究種目	若手研究(B)
配分区分	基金
研究分野	循環器内科学
研究機関	東北大学
研究代表者	矢尾板信裕東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00735368)
研究期間 (年度)	2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード	慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 急性肺塞栓症 / 一塩基変異多型
研究成果の概要	慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は肺動脈内に器質化血栓が生じ、肺高血圧症を来す致死的な疾患である。今回、CTEPHの遺伝的背景が急性肺塞栓症や特発性肺高血圧症の遺伝的背景と類似しているかどうか検討するために、51名のCTEPH患者の全エクソーム解析を行った。CTEPH患者には特発性肺動脈性肺高血圧症に関与する有意な一塩基変異多形(SNPs)は認めなかった。一方、急性肺塞栓症に関わるSNPsでは、F5、MTHFR、THBDの有意なSNPsを認めた。このことから、CTEPH患者の遺伝的背景は特発性肺動脈性肺高血圧症の遺伝的背景よりも急性肺塞栓症の遺伝的背景に類似していることが示された。
自由記述の分野	循環器内科
研究成果の学術的意義や社会的意義	肺動脈内に生じた器質化血栓により生じる慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は予後の悪い難病である。急性肺塞栓症(APE)の合併症と考えられるが、APEの既往のないCTEPH患者も多い。このためCTEPHの病態がAPEと似ているのか不明であった。本研究では、世界で初めてCTEPH患者の遺伝的背景を解析し、CTEPH患者にはAPEの危険因子となる遺伝的背景があることがわかった。また、APEの既往のないCTEPH患者もAPEの危険因子となる遺伝的背景があることがわかった。このことからCTEPHとAPEが類似した病態である可能性が示唆された。