研究課題/領域番号 |
17K15986
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中込 敦士 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (70792711)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高血圧 / 中心血圧 / 若年 / 孤立性収縮期高血圧 |
研究実績の概要 |
大動脈基部の血圧である中心血圧は、通常測定されている上腕血圧より重要臓器への負担を正確に反映しているとされている。若中年男性における孤立性収縮期高血圧(収縮期血圧のみが高値)は、高身長アスリートに良く見られ、上腕血圧は高いが中心血圧は低く予後良好と考えられ治療も不要とされてきた。しかし近年それに反する報告がされており、一定の見解は得られていない。さらにこれらの報告は欧米でのものであり、日本を含むアジア人と欧米人では体格に差があるため孤立性収縮期高血圧の病態にも差異が予想されるものの、アジア人における報告は皆無である。本研究は日本人若中年男性の孤立性収縮期高血圧患者の中心血圧・動脈硬化度を測定することにより、その病態・心血管疾患リスクを明らかにすることを目的とする。そして真のハイリスク患者の抽出・早期介入への第一歩になることを目指す。 中心血圧・動脈硬化度は現在非侵襲的に、かつ簡便に測定することが可能である。これまでに中心血圧測定機器の日本人における妥当性を検討し良好な結果が得られた。また18歳から25歳の日本人大学生男性の健診データを後向きに解析し、孤立性収縮期高血圧が3-4%存在すること、正常血圧と比較して肥満傾向であることを確認した。身長に有意な差は認めず、日本人における孤立性収縮期高血圧の病態が欧米人とは異なることが示唆される。日本人若中年孤立性収縮期高血圧の病態解明には中心血圧・動脈硬化度を含めた評価が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中心血圧は直接カテーテルを大動脈基部に留置し測定できるが、日常診療では現実的ではない。近年中心血圧を非侵襲的に測定する様々な方法が開発されてきており、現在では通常の血圧測定と同様に上腕にカフを巻いて中心血圧を算出する機器が使用可能である。我々は上腕カフを用いた機器とカテーテルにより測定した中心血圧を直接比較し、日本人においてその妥当性を確認した。また臨床的に有意義であることも中心血圧値と冠動脈疾患との相関を観察することで確認した。また、動脈硬化度は脈波伝播速度を測定することで非侵襲的に評価可能である。これらにより、若年、中年の健康診断受診者を対象に、中心血圧・ 動脈硬化測定を測定することが現実的となった。 本年度我々は、企業・大学へ打診し本研究へ協力頂ける施設を確保した。各協力施設の健診スケジュールや測定場所の提供状況に合わせて、中心血圧測定、脈波伝播速度測定を行い概ね予定通り症例数を蓄積できている。
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今後の研究の推進方策 |
現状は概ね順調に症例を集められているが、次年度は健診受診者が本年度と重複するため対象者が減少する可能性がある。また対象者は協力施設において健診を受診した方であるが、特に若年者の研究参加者を確保するのに困難なケースが多かった。いずれも測定日の増加や協力施設の拡充により対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入機器(XCEL PWA/PWV)の日本語化に伴うアップグレード費用、及び統計ソフトのアップグレード費用計上のため前倒し請求を行ったが、いずれも次年度に延期となったため次年度に改めて計上する予定である。また、その他人件費、学会発表等における費用として当初の予定通り使用する計画である。
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