本研究の目的は、心不全における心と腸の関連を探究し、腸および腸内細菌叢の機能異常が心不全の病態生理において果たす役割を解明することである。本研究では、以下の2つのテーマに焦点を当てて研究を実施した。 1) 心不全における腸上皮バリア機能の役割の解明:心不全マウスの腸上皮を解析し、腸上皮での抗菌物質の発現量が心不全マウスにおいて減少していることを見出した。 2) 心不全における腸内細菌叢の役割の解明:心不全患者の糞便を用いて腸内細菌叢の構成を解析し、心不全患者で腸内細菌叢の構成異常があることを世界で初めて報告した。さらに、心不全マウスの腸内細菌叢を喪失させると心肥大が軽減することを見出した。
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