研究課題/領域番号 |
17K15996
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
渡辺 陽介 山梨大学, 大学院総合研究部, 病院助教 (90535551)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | S-グルタチオン化 / エクソソーム |
研究実績の概要 |
障害細胞から分泌されるエクソソームやマイクロベシクルといった細胞外小胞は細胞質を内包するため血清そのものよりも鋭敏に細胞質内での S-グルタチオン化の変化を検出できる可能性がある。本研究では患者の血清から分離した細胞外小胞を解析し、循環器病における S-グルタチオン化蛋白の動態および役割を解明する。具体的には循環器病患者血清から分離した細胞外小胞を用いて①S-グルタチオン化蛋白の定量、②S-グルタチオン化蛋白の同定、③S-グルタチオン化蛋白の機能解析および循環器病の病態との関連性の検討、の3項目につき研究を遂行する予定である。 平成29年度は①循環器病患者血清中の細胞外小胞に含有される S-グルタチオン化蛋白の定量および② 循環器病患者血清中の細胞外小胞に含有される S-グルタチオン化蛋白の同定を施行する予定であった。現段階にておおよそ100例の急性心筋梗塞および心不全の患者血清からエクソソームを抽出しており、これらについて解析を進めている。研究成果として、急性心筋梗塞の患者からえられたエクソソームでは蛋白質のS-グルタチオン化が亢進していることが判明した。心不全患者では有意差はないものの、拡張型心筋症患者の心不全の増悪においてはエクソソーム中のS-グルタチオン化が亢進している傾向があることを確認している。エクソソーム中のS-グルタチオン化蛋白の同定はエクソソーム中のS-グルタチオン化蛋白が微量であること、蛋白質のプルダウンの効率が悪いことより難航している。現在新規のプルダウン法を確立すべく実験を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エクソソーム中のS-グルタチオン化蛋白の同定はエクソソーム中のS-グルタチオン化蛋白が微量であること、蛋白質のプルダウンの効率が悪いことより難航している。現在新規のプルダウン法を確立すべく実験を遂行している。研究計画書に記載したGSH抗体でのプルダウンは効率が悪く、GSTを用いた新規のプルダウン法についてはプルダウンが出来ないことが判明した。現在サンプル中のGSHを除去するとGSH抗体を用いた方法でプルダウン効率が改善することを確認できたため、実験系を確立すべく研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
心筋梗塞患者ではエクソソーム中の蛋白質S-グルタチオン化が増加することが確認できている。また拡張型心筋症の心不全でもエクソソーム中の蛋白質S-グルタチオン化は増加することが判明した。どの蛋白質がS-グルタチオン化されているかは不明であり、今後はこれを同定すべく研究を遂行する。同定できた場合は研究計画通りに同定した蛋白質の機能を解析する。
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