研究課題/領域番号 |
17K15997
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
足立 史郎 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60782430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管新生 / VEGF / PIGF / 肺高血圧症 |
研究実績の概要 |
本研究では、肺高血圧症における血管新生因子VEGF-Aと抑制型アイソフォームVEGF-A165bの意義を解明することを目的として計画された。現在、当院において肺高血圧症と診断された54人について右心カテーテル検査時に行われた採血検体より解析を行った。計画に則り、癌患者、感染症患者、骨髄増殖性疾患患者は除外した。コントロール群を設定してVEGF-AおよびVEGF-A165bを評価したところ、肺高血圧群ではVEGF-AおよびVEGF-A165bが有意に上昇していることが判明した。さらに肺高血圧症を特発性、膠原病性、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に層別解析を行ったところ、膠原病、慢性血栓塞栓性肺高血圧症においては有意に上昇していた。これらより肺高血圧症ではVEGF-A, A165bがともに増加しており、特に膠原病、慢性血栓塞栓性肺高血圧症では増加していることが分かった。肺高血圧症の背景疾患の判別にあたり有用な可能性が示唆された。ただ、肺高血圧症と重症度とは関連性が示されなかった。PIGFやエンドスタチンは重症度とも関連性があることから、今後はそちらの解析も追加して行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希少疾患である患者の集約化に取り組んでおり、このため登録は順調に進んでいる。一方で当初予定したVEGFが肺高血圧症の重症度との関連性が乏しかったということが判明した。一旦暗礁に乗り上げたものの、PIGFおよびエンドスタチンが重症度との関連性が示されたため、そちらも解析を加える予定である。よって総合的におおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
VEGF-AおよびVEGF-A165bが肺高血圧症の分類では有用であるが、重症度と関連がなかった。しかし、PIGFおよびエンドスタチンが重症度と関連があったことにより、それらを解析項目に追加をすることで、血管新生と肺高血圧症を多面的に評価をしていく方針とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のための学会旅費および物品購入費が節約できたため余剰金が発生した。次年度はその分をエンドスタチンおよびPIGFの測定に使用することを予定している。
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