研究課題
平成29年度は、QT延長症候群8型(LQT8)の原因遺伝子であるカルシウム電流に深く関与しているリアノジン受容体の遺伝子異常がQT延長に及ぼす可能性について検索した。現在我々が有している約2300家系のうち、リアノジン受容体遺伝子変異が同定されているものは117名おり、その大半がカテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)の患者であったが、CPVTの臨床像を呈さず、LQTSのみの臨床像を呈していたものが15名確認された。リアノジン遺伝子異常は、LQTSの原因遺伝子である可能性は示唆されつつもまだ正式に確立されていないが、リアノジン遺伝子変異を持つLQTS患者は致死的不整脈発作など重篤な臨床像を示している症例が多かった。また、他のLQTS原因遺伝子が同定されている患者のうち、リアノジン遺伝子多型を合併して有している者に関しては、同一家系であっても有さない者と比較して重症であった。これらの結果より、リアノジン受容体遺伝子がLQTSの原因遺伝子として正式に確立されることは早急な課題であると考えられており、検索と評価を進めている次第である。上記の内容について、平成29年8月にスペイン・バルセロナで開催された欧州心臓病学会、9月に横浜で開催されたアジア太平洋不整脈学会、30年3月に大阪で開催された日本循環器学会学術集会総会において演題発表を行った。その他、LQTSについての共同演者として上記学会にて複数の演題発表に協力し、また論文共著者として作成に助力(現在投稿中)している。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は研究成果について学会発表を目標としており概ね到達できた。30年度は研究成果について論文作成・投稿の予定であり、現在既に着手している。
現在、LQT8の臨床的特徴について論文作成中である。今夏には投稿予定としている。
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Journal of Cardiology
巻: 71 ページ: 401-408
10.1016/j.jjcc.2017.10.004.