研究課題
これまでに我々が集積した遺伝性心臓突然死症候群、約5000人のコホートにおいて、これまでに得られた知見から患者の病態を再評価するとともに心電図上の特徴を確認した。また明らかに家族性に発症し、特徴的な遺伝性不整脈の所見を呈しながら遺伝子異常を同定できていない症例を抽出し、CACNA1C遺伝子変異を検索した。その結果、これまで1%未満の稀な異常であると考えられてきたQT延長症候群8型(LQT8)においてLQTSの中で3番目に頻度が高いとされている3型(SCN5A遺伝子変異)とほぼ同等の検出率を示した(約2%)。これは2014年に発表した我々の報告から矛盾しないものであったがLQT8患者数が当時の約3倍となり、古典的なTimothy症候群の患者も3名同定された。これらLQT8患者の臨床像と心電図的特徴を解析した。LQT8患者の中でlate-appearance T waveを認めた症例は高率に重症な臨床像を呈しており、これまでの機能解析の結果から変異によるCa電流量の変化が大きいほど同様の心電図変化を呈することが示唆された。この特徴を、よく似た心電図変化を呈するLQT3型と比較した論文を作成した(現在査読付学会誌に投稿中である)。また京都大学と共同で研究を進めていたCACNA1C-A582D遺伝子変異をiPS細胞に発現させ、ジルチアゼムへの反応を確認した論文の共著者として作成に協力した(現在投稿中)。上記の成果および並行して派生したQT延長症候群の遺伝子変異に関する新たな知見について適宜国内の学会にて発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)
Journal of Cardiology
巻: 71 ページ: 401-408
10.1016/j.jjcc.2017.10.004.