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2017 年度 実施状況報告書

動脈硬化形成におけるmiR-33a/bの役割解明と新規バイオマーカー・治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K16002
研究機関京都大学

研究代表者

西野 共達  京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80795584)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードマイクロRNA / 動脈硬化症 / HDL-C / 慢性炎症 / 新規核酸製剤
研究実績の概要

我々のグループを含む、これまでの研究から、miR-33aがHDLコレステロールの代謝(miR-33抑制により血中HDLコレステロール値は上昇する) や動脈硬化形成へ寄与することが明らかとなってきた。miR-33にはmiR-33a/bの二種類があり、miR-33bはヒトのSREBF1遺伝子のイントロンには存在するが、マウスのSrebf1遺伝子には欠失しており、in vivoでのmiR-33a/bの詳細な機能解析は困難であった。そこで、miR-33b ノックイン(KI)マウス(ヒト化マウス)を作成した。本研究ではmiR-33a/bの動脈硬化症形成・進展にかかわるメカニズムの解明を目的とする。当初の平成29年度の年次計画より早く進行している、下記に詳細を記す。
平成29年度の研究状況
1)miR-33bと脂質代謝:KIマウスで血清HDL-Cが35-50%低下することに加え、血清TG値が低下することが判明したが、腸管での脂質の吸収、カイロミクロンの合成低下が主な機序であることが分かった。
2)miR-33bと動脈硬化:KIマウスで動脈硬化の形成・進行が促進されることを明らかとした。各種免疫染色等から、壊死コア豊富な不安定プラークの形成が進むことが明らかとなった。また、RIを使用したトレーサー実験から、生体レベルでコレステロール逆転送系が有意に低下していることを明らかにした。ヒト動脈硬化巣サンプルを用いて、動脈硬化巣でmiR-33a/bが発現していることを確認した。さらに、骨髄移植実験を行い、マクロファージ等の免疫細胞におけるmiR-33bが動脈硬化形成・進展に寄与することを明らかとし、新たな治療標的を見出した。
3)新規核酸製剤:miR-33a/bを選択的に抑制するような新規核酸製剤の開発に着手しており、in vitroレベルで2つを特異的に抑制可能な製剤開発に成功している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

この1年間を総括すると、当初予定していた平成29年度の研究計画に加え、平成30年度の研究計画についても研究を着手進行させることが出来、予定を上回る実験・研究がすすめられた。
動脈硬化モデルにおけるmiR-33a/bのin vivoでの役割については、ある程度明らかとなりつつあり、現在論文投稿中である。
また、現在進行している新規核酸製剤の開発等についても、さらなる発展が見込めるものと期待している。

今後の研究の推進方策

miR-33a/bが動脈硬化形成・進展にどのように寄与するかに関しては、KIマウスを用いた実験から、かなり詳細な検討を行うことが出来た。すなわち、特に肝臓におけるmiR-33bの働きによる血清脂質プロファイル(特にHDL-C)の変化、またマクロファージにおけるmiR-33bによる慢性炎症の亢進が主なメカニズムであることが示された。現在論文投稿し、リバイス中であり、追加の実験・検討を行っている。
上記研究から、肝臓やマクロファージにおけるmiR-33bが動脈硬化の形成・進行を抑える上での有望な治療標的となり得ることを示した。現在開発中の新規核酸製剤を用いて、マウスレベルでの治療効果の確認を行いたい。さらに、患者血清を用いたmiR-33a/bのバイオマーカーとしての可能性を探りたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定より僅かに使用額が減じたため。
当初の予定通り、平成30年度の研究計画を推進するために、使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Genetic Ablation of MicroRNA-33 Attenuates Inflammation and Abdominal Aortic Aneurysm Formation via Several Anti-Inflammatory Pathways2017

    • 著者名/発表者名
      Nakao Tetsushi、Horie Takahiro、Baba Osamu、Nishiga Masataka、Nishino Tomohiro、Izuhara Masayasu、Kuwabara Yasuhide、Nishi Hitoo、Usami Shunsuke、Nakazeki Fumiko、Ide Yuya、Koyama Satoshi、Kimura Masahiro、Sowa Naoya、Ohno Satoko、Aoki Hiroki、Hasegawa Koji、Sakamoto Kazuhisa、Minatoya Kenji、Kimura Takeshi、Ono Koh
    • 雑誌名

      Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology

      巻: 37 ページ: 2161~2170

    • DOI

      https://doi.org/10.1161/ATVBAHA.117.309768

    • 査読あり
  • [学会発表] SREBF1/MicroRNA-33b axis promotes unstable atherosclerotic plaque formation2018

    • 著者名/発表者名
      西野 共達
    • 学会等名
      第55回日本臨床分子医学会学術集会
  • [学会発表] MiR-33b promotes development of atherosclerotic in Apoe knockout mice.2018

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Nishino
    • 学会等名
      第1 回日本循環器学会基礎研究 フォーラム
    • 国際学会
  • [学会発表] MicroRNA-33b promotes atherosclerotic plaque formation in Apoe-/- mice.2017

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Nishino
    • 学会等名
      Scientific Sessions of the American Heart Association 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] MicroRNA-33b promotes atherosclerotic plaque formation in vivo.2017

    • 著者名/発表者名
      西野 共達
    • 学会等名
      第49 回日本動脈硬化学会総会
  • [備考] 京都大学大学院医学研究科 循環器内科 心血管疾患分子機構解明グループ

    • URL

      http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/metabolic/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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