研究課題
本研究開発は、RNA 代謝という観点から、心筋肥大に関わる新たな分子・シグナル 伝達を明らかにすることを目的とし下記の項目に沿って推進した。1. Btg2の候補遺伝子の同定 : 前年度に絞り込めてきたBtg2標的候補遺伝子の同定を進めている。標的候補遺伝子の、RNAの安定性、肥大刺激への応答性の変化より、標的遺伝子として同定していく方針で進めている。2. In vivoにおけるBtg2の心肥大抑制作用の評価 : 心筋特異的にBtg2を強制発現させたゼブラフィッシュを作成し、心臓表現型や遺伝子発現レベルの変化を野生型と比較検討した。5-7dpfでは、変異モデルで心臓の拡大傾向および壁菲薄化の傾向を見出し、さらに詳細な評価を進めている。またフェニレフリン刺激を用いた心不全モデル作成を試みているが、現時点では肥大関連遺伝子の発現増加や心臓表現型の明らかな変化は見られず、樹立まで至っていない。3. Btg2の候補遺伝子の心臓における機能評価 : 同定された候補遺伝子の機能評価を目的とし、CRISPR/Cas9システムを用いてマウス培養心筋細胞で標的遺伝子をノックアウトし、心筋細胞の形態変化や、細胞内カルシウム(Ca)動態を評価するため、イメージングサイトメトリーを用いたアッセイ系の樹立を行った。抗αActinin抗体と抗Mlc2v抗体を用いることで、多種混在する培養細胞の中から、心筋細胞および心室筋細胞の抽出が可能となり、細胞種を識別した個々の細胞の評価を行うことができた。またCRISPR/Cas9システムを用いてAtp2a2をノックアウトしたところ、細胞質内のCa濃度の低下、Ca減衰時間の延長を確認できた。今後、同定された候補遺伝子をCRISPR/Cas9システムを用いてノックアウトし、形態変化、薬物応答性の変化より、心筋肥大化メカニズムへの関連性を評価していく予定である。
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International Heart Journal
巻: 60 ページ: 220~225
10.1536/ihj.18-184