研究実績の概要 |
心臓移植後の慢性期における移植心冠動脈病変(cardiac allograft vasculopathy, CAV)は遠隔期の死亡原因の一つとして臨床上問題である。心臓移植後のレシピエントにおけるCAVは免疫学的な反応によりび慢性に全周性の内膜肥厚し内腔が狭小化する病態とされているが詳細な機序は不明である。本研究はレシピエントの冠動脈を光干渉断層計(optical coherene tomography, OCT)および血管内超音波(intravascular ultrasound, IVUS)を用いて、経時的に観察しえた、40レシピエントを対象とし検討を行った。その結果(1)ドナー由来プラーク(移植後8週時点で観察しえたプラーク)では、OCTで分別しえた形態ごとに経時的な変化はことなること、(2)de novoプラーク(移植後8週時点でOCTでは観察しえないが、1年時点に新たに観察しえたプラーク)では、ドナー由来プラークに比較しプラークの増大率が有意に高いこと、がわかった。2017年度はOCTのみで検討を行っていたが、2018年はOCTと同時に施行していたIVUSのデータもあわせ再度検討を行った。若年であり、動脈硬化リスクが良くコントロールされた母集団にもかかわらず、約25%の症例でプラーク増大を認めていることがわかった。移植後の拒絶に関連した炎症がプラークの増大に関わっていることが示唆され、今後の検討課題が明らかとなった。
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