研究実績の概要 |
心臓移植後の慢性期における移植心冠動脈病変(cardiac allograft vasculopathy, CAV)は主要な遠隔期の死亡原因の一つとして臨床上問題である。移植心冠動脈病変の検討において、移植後新たに発生したde novoプラークとドナー由来プラークを分別することはその機序を解明するために重要である。心臓移植を行った40症例を対象とし、移植後8週および1年時点に、光干渉断層撮影(OCT, optical coherence tomography)と血管内超音波(IVUS, intravascular ultrasound)を用い観察を行った。本研究ではde novoプラークを移植後8週時点では観察しえないが、1年時点に新たに観察しえたプラークと定義し、ドナー由来プラークを移植後8週時点で観察しえたプラークと定義した。結果、1. ドナー由来プラークではOCTで分別しえた線維性プラークと脂質プラークは石灰化プラークと比較し増大していること、2. De novoプラークはドナー由来プラークよりもプラーク増大率は高く、その発症にはドナー基礎疾患が虚血性心筋症であることが関わること、3. 血清サイトカインを探索的に検証したところ血清インターロイキン-31がde novoプラーク発症と関連していることを見出した。さらに現在、移植後1年以降、2年時点、3年時点にも同様にIVUS, OCTを用いた観察を行っており解析中である。
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