研究実績の概要 |
(1) TAVI後のRELMもしくは血栓弁の予測に関する検討:60症例を対象に解析を行った。術後慢性期にRELMもしくはCT上の血栓弁は18%で認められた。さらに,患者―人工弁適合不全(patient-prosthesis mismatch: PPM)を含む弁複合エンドポイントで見ると,42%で何らかのイベントを認めた。こうした弁複合エンドポイントの規定因子として,3DTEEで計測した不十分な人工弁ステント拡張,が多変量解析で検出された。 (2) 僧帽弁クリップ後の僧帽弁形態変化と逆流減少の関連:76症例 (機能性MR) を対象に解析を行った。逆流の機序からさらに2群に分けて解析を行った。クリップ留置後は約2mm程度,弁輪が前後方向に縮められ,弁輪面積の縮小,弁接合面積の増加といった効果が確認された。多変量解析を行ったところ,中心性ジェットを呈する群(主に心室性機能性MR)におけるMR減少に寄与する因子は,弁輪の前後方向の縮小および接合面積の増加であった。一方で,偏向性ジェットを呈する群(主に心房性機能性MR)におけるMR減少に寄与する因子は,前尖および後尖の牽引角度差の減少であった。 (3) 三尖弁逆流の三次元的評価法の確立についての研究:3+以上の三尖弁逆流116症例について解析を行った。カラー3Dデータからの縮流部解析にて,逆流部位・重症度が同時に評価可能だった。逆流量40 mL以上を重度逆流と定義したところ,VCAカットオフ値は0.61 cm2であり感度78%, 特異度97%で重度逆流を診断可能だった。3D VCAは右室拡大や肝静脈ドプラの収縮期逆流波形といった従来の二次元心エコー図の指標よりも強く,逆流重症度に関連していた。さらに,臨床背景,従来の二次元心エコー図の指標と3D VCAを組み合わせることによって,精度よく重度三尖弁逆流を診断することが可能であった。
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