虚血性心疾患の治療に際し、冠血流予備量比(FFR)による治療方針決定の有用性が確立されている。しかし、冠動脈内イメージングデバイス(血管内超音波検査:IVUSおよび光干渉断層法:OCT)で得られた冠動脈の解剖学的情報を用いてFFRを計算する報告は国内外を問わず少ない。そこで申請者は,解剖学的情報を用い、流体力学理論に基づいてFFRを推定する新たなアルゴリズムをすでに作成した。本申請では、(1)当該アルゴリズムを用いた解剖学的情報によるFFR解析、(2)数値流体解析ソフトウェアを用いた血流の解析、(3)3Dプリンターにより作成した。冠動脈の病変を再現した模型を用いた体外実験を実施し、それらの結果を組み合わせることでFFRと冠動脈形状との関係を研究している。(1)に関しては、The American Journal of Cardiology (Am J Cardiol. 2017;120:1772-1779 )にOCTを用いた虚血診断の有用性を、Circulation Journal (Circ J. 2018;82:815-823)にIVUSを用いた虚血診断の有用性を報告し、日本全国において解剖学的指標から虚血を診断する有用性の講演を行ってきた。 (2)他大学との共同研究を進めており、本年度中に投稿予定である。 (3)に関しては、現在も実験を進めており、ステントの不完全拡張による流れへの影響を動画にて評価、さらに圧損失の測定を行っている。 現在、申請者は米国に留学中であり、科研の中断を行っているが、本研究の臨床応用を世界に広めるため研究・活動を継続している。
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