研究課題/領域番号 |
17K16024
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
礒見 まり 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60748490)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心臓再生 / 幹細胞 / 心臓前駆細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では新規心臓前駆細胞誘導因子を用いて、幹細胞からの簡便・効率的・低コストな全く新しい心筋誘導法を確立する。さらにこれまで不明であった心臓前駆細胞誘導の分子制御機構を解明する。マウス線維芽細胞を用いて同定した心臓前駆細胞誘導因子Xのマウスの心臓発生過程における発現パターンを明らかにし、さらにマウスES細胞からの心筋誘導にも成功した。この結果を踏まえ、ヒト細胞におけるX因子の関わりの解明に取り組んだ。 1. ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化過程における心臓前駆細胞誘導因子Xの遺伝子発現解析(済) マウス同様に、ヒトiPS細胞からの心筋分化における心臓前駆細胞誘導因子Xの遺伝子発現パターンをQRT-PCRを用いて解析した。この結果、X因子はヒトiPS細胞からの心筋分化過程で、T, Mesp1など心臓前駆細胞の出現時期に一致して一過性に発現し、心筋細胞分化とともに減少していることが確認された。 2. 心臓前駆細胞誘導因子によるヒトiPS細胞からの心臓前駆細胞、心筋細胞分化誘導法の確立(一部実施済) 次にドキシサイクリン(Dox)投与により心臓前駆細胞誘導因子Xの発現を制御できるヒトiPS細胞細胞株を樹立した。これまでの予備実験で、iPS細胞株においてサイトカインを使用せず、Doxを添加するだけで誘導開始後1日目に心臓前駆細胞特異的な遺伝子TやMesp1の発現をQRT-PCRや免疫染色で確認できた。またヒト誘導心臓前駆細胞はDoxをoffにして14日目に拍動を開始し、心筋細胞に分化することも確認している。別のX因子発現iPS細胞株でも心臓前駆細胞から心筋細胞の誘導が可能であることを確認するため、現在複数のiPS細胞株の樹立に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に沿ってヒトiPS細胞を用いた心筋細胞の誘導に取り組み、一部完了している。しかし、研究代表者の異動により研究機関の変更が生じ、他業務多忙のため当研究を行うことが困難な時期があり、研究計画に沿ったスケジュールで遂行できなかった。またこれまでの実験から得られた結果をより確かなものであることを証明するため、樹立するiPS細胞株数を増やし、より詳細に解析する。このため研究計画を見直し、期間を延長して実施する。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の異動により当初の実施計画から遅延した実験を実施する。 また現在実施しているiPS細胞株の樹立を完了し、複数の細胞株で心筋細胞の誘導が可能であることを証明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度中に研究代表者の異動により、研究実施機関の変更が生じた。そのため一部期間研究の実施が困難になったため当初の計画より遅延した。また、さらに信頼性のある結果を追求するため研究を延長して行うこととなった。
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