本研究によりSema3Aが不全心筋モデルにおける病的変化を改善させる逆リモデリング効果を持つことが示された。交感神経系の過負荷が病態形成に関与する心不全やカテコラミン心筋症などの治療にSema3Aが応用できる可能性を示唆する結果が得られたことには大いに意義がある。 一方、本研究はISP負荷不全心筋モデルマウスという特定の条件下でのSema3Aの効果を検討したものであり、ヒトの心不全や心筋症の治療に臨床応用するには今回得られたデータのみでは十分ではない。今後、ヒトの心疾患におけるSema3Aの役割や治療効果および安全性についてさらなる検討を要する。
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